1500種中、食用可能なキノコはわずか300種

松茸

松茸と判っていれば、採取して食したいものです

キノコはカビと同じ菌類。菌糸と呼ばれる細胞が成長し、子実体と呼ばれる、我々が目にする形のキノコになり、胞子を作って、繁殖していきます。子実体の多くは傘を持ったような形をしています。

山には多くのキノコが生えており、秋になるとキノコ狩りなどのレジャーもありますが、食用可能かどうかの判断は非常に重要です。日本には約1500種類のキノコがあると言われ、食用可能なキノコは約300種、その中でも市販されているものは約20種と言われています。驚くべきことに、毒キノコと判っているものは約30種、残りの多くは、食用なのか毒なのかが不明なのです。

キノコを食べて様々な症状が起こるキノコ中毒ですが、その多くは、自ら山で採取した毒キノコを食用と考えて摂取して食べてしまうことで起きています。キノコによる食中毒では、意識がなくなるなどの意識障害、不整脈などの循環器障害、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器障害などが起こります。

キノコ中毒の主な症状

キノコを食べた後、主にどこに症状が出るかで、大きく4つに分類されます。
  1. 消化器型
  2. 溶血型
  3. 神経型
  4. その他

キノコ中毒を考える時に重要になるのが、摂取してから発症までの時間。3時間以内に発症する場合は、消化器型が多く、10時間以上経ってから発症するものは、重症になりやすいです。

以下で、各タイプ別に、その毒成分と含まれるキノコをまとめてみます。それぞれの毒に対する治療法についても解説したいと思います。

消化器型キノコ中毒の種類・症状・治療法

■イルジンM, イルジンS、コリン
キノコ:ツキヨタケ、イッポンシメジ、カキシメジ
摂取から発症までの時間:30分から2時間
症状:水のような下痢、色彩幻覚と言って、青く見えます(青視症)
治療:症状に応じた治療

■アマニタトキシン
熱に強い毒で死亡率が約90%で細胞を壊してしまうために、様々な臓器が障害される
キノコ:タマゴテングタケ、ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ
摂取から発症までの時間:6から24時間
症状:水のような下痢、肝障害
治療:胃洗浄をして、活性炭、下剤の使用する。胆汁吸引を行う。、ペニシリンGの投与。血液浄化と利尿を行う

溶血型キノコ中毒の種類・症状・治療法

■ヒドラジン
熱で無毒化
キノコ:シャグマアミガサタケ
摂取から発症までの時間:6から12時間
症状:消化器症状、ビタミンB6の作用を抑えるために痙攣、溶血、肝障害、腎障害
治療:ビタミンB6を投与したり、メチレンブルーを投与

神経型キノコ中毒の種類・症状・治療法

ベニテングダケ

ベニテングダケは、毒キノコで、外観、形態で判りますよね

■イボテン酸
キノコ:テングタケ、ベニテングタケ
摂取から発症までの時間:30分から2時間
症状:アルコール中毒のような症状、粘膜が乾燥し、脈が多くなる
治療:ネオスティグミンという副交感神経を高める薬の投与

■ムスカリン
熱に強い
キノコ:アセタケ属、カヤタケ属
摂取から発症までの時間:30分から2時間
症状:発汗、よだれが出て、涙が止まらない、目の瞳が小さくなっている
治療:アトロピンという副交感神経を抑える薬の投与

■クリチジン、アクロメリン酸
キノコ:ドクササコ(ヤブシメジ)
摂取から発症までの時間:2から4日
症状:手足のしびれ、灼熱感、強い痛み
治療:硬膜外ブロックで痛みを和らげる

■シロシビン
キノコ:ワライタケ、ヒカゲタケ、シビレタケ
摂取から発症までの時間:30分から1時間
症状:幻覚、口の乾燥し、全身倦怠感、酩酊状態になり、意識障害。
治療:統合失調症などの使用する抗精神薬であるクロルプロマジン

その他の中毒・症状・治療法

■コプリン
キノコ:ホテイシメジ、スギタケ、ヒトヨタケ
摂取から発症までの時間:3時間から5日
アルコールを同時に摂取すると30分から2時間
症状:吐き気、嘔吐、動悸、顔が赤くなる、意識がなくなるなどの2日酔いのような症状
治療:アルコールを避ける。血圧を下げる薬であるプロプラノロールを投与

キノコ中毒の予防法と対策法

まず何よりも、知らないキノコは食さないこと。キノコの外観、形態などをよくチェックして、図鑑などでキノコの種類をしっかりと確認しましょう。そしてキノコを採取した時には、採取した場所、時刻、食べた場合は調理方法、摂取量、一緒に食べた人などを把握しておきましょう。加熱することで無毒化するキノコ毒もあります。

毒キノコを食べたかもしれない時と思った時には、まずは、吐き出すことが大切です。ただし、意識がない場合、けいれんしている場合は、気道に吐物が入る可能性があるので、嘔吐させてはいけません。

キノコを食べてから、体調が悪化した場合は、医療機関を受診します。その時には、できれば残っているキノコを持参しましょう。食品として摂取したキノコ中毒と診断された場合は、医療機関ではただちに保健所に届ける必要があります(食品衛生法第58条)。また、発症までの時間が長い毒キノコもありますので、なかなか診断が難しいことがあるのも実情です。

いずれにしても、名前がはっきりと判らないキノコや、確実に食用であると判別できないキノコを食べないようにすることが、キノコ中毒の予防の鉄則です。
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