鎌倉の魅力がつまった「鎌倉五山のお寺めぐり」散歩コース

鎌倉の禅寺の中でも、特に格式が高いとされる「鎌倉五山」のお寺をめぐります。
円覚寺の紅葉

円覚寺の紅葉


鎌倉五山第一位の建長寺と第二位の円覚寺は、春の桜や秋の紅葉が美しい、鎌倉の人気観光名所です。また、五山めぐりの散歩道は、鎌倉らしい仏像や景色、ランチなどを一日で満喫できる観光モデルコースとしてもおすすめです。

<今回歩くコース>
JR北鎌倉駅 → 円覚寺 → 浄智寺 → 建長寺 → 寿福寺 → 浄妙寺


 

そもそも、「鎌倉五山」とは?

「鎌倉五山」とは、簡単にいうと、鎌倉の禅宗(臨済宗)寺院の中で、格式の高い5つのお寺のこと。昔は、修行にふさわしい静かな山の上にお寺を建てたので、お寺のことを「山」というのですね。 京都と鎌倉にそれぞれ「五山」があって、その上に、最高寺格の「五山之上(ござんのうえ)」として、京都の南禅寺があります。

ちなみに、「鎌倉五山」は、以下の通りです。

鎌倉五山 第二位・円覚寺へ

まずは、JR北鎌倉駅のすぐそばにある、鎌倉五山 第二位の円覚寺を拝観します。

北鎌倉駅には、下りホーム側に臨時改札口があり、円覚寺へはこちらからのほうが近いのですが、お寺の正式な参道を歩くために、あえて上りホーム側の正規の改札口を出ます。

改札を出て、それほど広くない駅前広場を抜けたら、県道(鎌倉街道)を左へ。バス停の前を通り過ぎて行くと、県道と円覚寺参道との角に、こんな石塔が立っています。
円覚寺参道と五山塔

円覚寺参道と五山塔


5つの石が積み上げられた「鎌倉五山」のお寺であることを示す「五山塔」です。

この石塔がこの場所にあるということは、本来、この辺りまでが円覚寺の境内なのです。しかし、写真を見ると分かるように、総門へ向かう参道を電車の線路が横切っています。明治時代、「富国強兵」政策の下、無理に鉄道を通した結果、お寺の境内が分断されてしまったのです。

さて、参道を進んで、総門をくぐり、拝観受付をすませましょう。
円覚寺の桜

円覚寺の桜

 
円覚寺 妙香池の紅葉

円覚寺 妙香池の紅葉


円覚寺は、二度の元寇(蒙古来襲)の後、執権・北条時宗が、日蒙両軍の兵士の菩提を弔うために建立したお寺で、境内はとても広く、春の桜と、秋の紅葉が美しいことで知られます。
国宝 舎利殿(円覚寺)

国宝 舎利殿(円覚寺)


円覚寺には、神奈川県で唯一の国宝建築「舎利殿(しゃりでん)」があります。「舎利」とはお釈迦様の骨のことで、鎌倉幕府の三代将軍・実朝が中国から取り寄せたという舎利をおさめています。

舎利殿は、残念ながら普段は非公開。正月三が日、ゴールデンウィーク、「宝物風入」期間(11月3日の文化の日を含む3日間)のみ一般公開されますので、チャンスがあれば、ぜひ、近くでご覧になってみてください。

円覚寺は、ほかにも見所がたくさんあるので、拝観には最低1時間は確保したいところです。

<DATA>
■円覚寺
住所:鎌倉市山ノ内409
アクセス:JR「北鎌倉駅」徒歩1分
地図 → 拝観案内・アクセス
ホームページ → 円覚寺ホームページ
 

鎌倉五山 第四位・浄智寺へ

円覚寺の拝観を終えたら、横須賀線の線路の反対側に渡り、鎌倉五山 第四位の浄智寺へ行ってみましょう。
浄智寺総門

浄智寺総門


浄智寺に来て、みなさん気になるのが、総門に掲げられた「宝所在近」という言葉。

なんだか、「宝物は、すぐ近くにあるぞ!」といっているように思えますが、修行中のお坊さんたちへの「がんばって修行を積めば、意外と早く悟りに到達することができる」というメッセージなのだそうです。さすが、禅寺!

「幸せは意外と近くにある。嫌なことがあってもがんばって生きていこう」と解釈すれば、私たちにとっても、すごく励みになる言葉ですね。
浄智寺山門への石段

浄智寺山門への石段


さて、総門から中国風の山門へと向かう、鎌倉石のすり減った石段の参道は、とっても絵になる撮影スポット。

この場所は、映画『武士の一分』の撮影にも使われました。新之丞(木村拓哉)の妻・加世(檀れい)の墓参りのシーンです。ぜひ、チェックしてみてください。
浄智寺境内の布袋尊

浄智寺境内の布袋尊


浄智寺境内はそれほど広くないので、拝観時間は30分もみておけば十分だと思います。過去・現在・未来を表す本尊の「三世仏座像」や、鎌倉・江の島七福神めぐりの「布袋尊」もお参りしましょう。

<DATA>
■浄智寺
住所:鎌倉市山ノ内1402
アクセス:JR「北鎌倉駅」徒歩8分
地図 → Googleマップ
拝観案内 → 鎌倉紀行 浄智寺
 

ランチは、その名も『鎌倉五山』というお店で

そろそろランチにしましょう。ご紹介するのは、今回の散策にピッタリな、その名も『鎌倉五山』という、お蕎麦やうどんが美味しいお店です。

浄智寺の参道入口まで戻り、県道を右折。踏切を渡ってすぐの右側にあるお店です。
「けんちんそば」のセット(1100円)

「けんちんそば」のセット(1100円)


さて、いただいたのは、「けんちんそば」のセット(1100円)。崩した豆腐と野菜を煮込んだ「建長汁(けんちんじる)」は、この後に行く、建長寺が発祥とされます。

その昔、小僧さんが料理しているときに、豆腐を床に落として崩してしまいますが、和尚さんが「構わん、構わん」といって鍋に放り込んだのが、建長汁のはじまりなのだとか。

その建長汁に、さらにお蕎麦を入れたのが、「けんちんそば」なのですね。セットには、炊き込みご飯が付きます。
 

鎌倉五山 第一位・建長寺へ

お腹が満たされたら、散歩再開です。お店を出て県道を10分ほど歩いて行くと、左側に鎌倉五山 第一位の建長寺が見えてきます。
「建長興国禅寺」の扁額

「建長興国禅寺」の扁額


建長寺は、正式名称を「建長興国禅寺」といい、建長5(1253)年に「我が国初の禅の専門道場」として創建されたお寺。

建長寺で面白いなと思うのが、タヌキが建てたという山門のお話です。
タヌキの運命やいかに?

タヌキの運命やいかに?


江戸時代、建長寺の和尚さんが山門を再建したいと願っていましたが、老齢だったため、自分で勧進(お金集め)の旅に出るのは無理でした。

そこで、永年、境内に住まわせてもらったお礼にと、代わりに旅に出たのが裏山に住んでいた古タヌキ。

しかし、いくらお坊さんに化けていてもタヌキはタヌキ。入浴中にしっぽを見られたりして、「建長寺の勧進和尚はタヌキだ」という噂が立ち始めます。

このタヌキ和尚、最後は犬にかみつかれてあえなく死んでしまうのですが、お金はちゃんと集めていたようで、山門は無事に再建された、というお話が残っています。
建長寺の桜

建長寺の桜

 
建長寺塔頭(たっちゅう)の「龍峰院」の紅葉

建長寺塔頭(たっちゅう)の「龍峰院」の紅葉


建長寺は、とても広いお寺なので、拝観には最低1時間は必要です。また、裏山を登っていけば、建長寺の鎮守である「半僧坊」境内を経由して、天園ハイキングコース(鎌倉アルプス)に通じています。

<DATA>
■建長寺
住所:鎌倉市山ノ内8
アクセス:JR「北鎌倉駅」徒歩15分
地図 → アクセス
ホームページ → 建長寺ホームページ
 

「笑い閻魔」を拝観

さて、先ほど歩いてきた県道をもう少し先まで足をのばしてみましょう。右手に円応寺というお寺があります。

円応寺のご本尊は、仏師・運慶の作と伝わる「閻魔大王座像」(国重文)。「笑い閻魔」の別名を持つ、素晴らしい仏像です。
閻魔大王座像(円応寺)

閻魔大王座像(円応寺)


病気で瀕死の状態になった運慶が、閻魔大王の前に引き出され、次のようにいわれます。

「おまえは彫刻が上手だから、人々が悪事をはたらかぬよう、現世に戻り、わしの恐ろしい姿を彫刻して見せてやれ」

生き返ることができた運慶は大喜び。笑いながら彫刻したので、どことなく笑っているような表情になり、「笑い閻魔」の別名がついたと伝わります。

本堂には、閻魔大王のほか、亡者が冥界において出会う「十王」がまつられています。(十王像のうち、鎌倉彫刻の優品として名高い初江王座像(しょこうおうざぞう・国重文)は、鎌倉国宝館に寄託中)

<DATA>
■円応寺
住所:鎌倉市山ノ内1543
アクセス:JR「北鎌倉駅」徒歩16分
地図 → Googleマップ
法事等が入った場合、拝観できないことがあります。
仏像の写真は寺院の許可を得て撮影。通常は撮影不可。
 

鎌倉らしい景観「切通し」を抜けて

今度は、先ほど歩いてきた県道を、北鎌倉駅のほうへ少し引き返します。
亀ヶ谷坂切通し。急坂なので、坂を登ってきた亀がひっくり返って「亀返坂」、途中であきらめて帰って「亀帰坂」ともいわれたのだとか

亀ヶ谷坂切通し。急坂なので、坂を登ってきた亀がひっくり返って「亀返坂」、途中であきらめて帰って「亀帰坂」ともいわれたのだとか


建長寺から、やや北鎌倉駅寄りに、長寿寺というお寺があります。このお寺の手前の細道が「亀ヶ谷坂切通し(かめがやつざかきりどおし)」の道。

切通し」というのは、山に囲まれた鎌倉で、人や物の往来をしやすくするために、山を人工的に掘削して開いた道のこと。この「亀ヶ谷坂」を含め、代表的な切通し7カ所は、「鎌倉七口」と呼ばれました。

ちなみに、「亀ヶ谷坂」は、山ノ内(北鎌倉)を経由して、武蔵・上州方面へと通じる街道でした。
薬王寺は桜の穴場スポット

薬王寺は桜の穴場スポット


崖と崖の間のいかにも「切通し」らしい道を歩いて坂を越えると、途中からは住宅地の中の道になります。道沿いには、徳川家ゆかりの寺で桜の穴場名所の「薬王寺」や、頼朝の娘・大姫(おおひめ)を供養する地蔵をまつる「岩船地蔵堂」などの見所があります。

薬王寺や岩船地蔵堂については、こちらの記事が参考になります。

北鎌倉~鎌倉散策 季節の花やお寺をたどる穴場コース
 

鎌倉五山 第三位・寿福寺へ

岩船地蔵堂

岩船地蔵堂


「亀ヶ谷坂」の道は、岩船地蔵堂の前でT字路につきあたります。ここから、左へ線路沿いに歩いて行くと踏切があるので渡ると、鎌倉五山 第三位の寿福寺の門前に出ます。

寿福寺のある場所は、かつて、頼朝のお父さんの義朝の代まで源氏の館があった場所。頼朝が本格的に鎌倉幕府を開くと決めたときに、ここでは手狭だったので、鶴岡八幡宮の東側の土地に移りました。

その跡地に正治2(1200)年に建てられたのが、寿福寺です。栄西禅師は、ここを拠点に禅の教えを広めました。
寿福寺

寿福寺


上の写真は、寿福寺の総門ですが、左側にやはり「五山塔」がありますね。

寿福寺の境内は、残念ながら非公開ですが、総門から木立に囲まれた石畳の美しい参道は歩くことができます。

また、墓地には頼朝夫人の政子と、頼朝と政子の子で三代将軍の実朝の墓と伝わる石塔のほか、作家の大仏(おさらぎ)次郎、俳人の高浜虚子、外務大臣・陸奥宗光の墓があります。

<DATA>
■寿福寺
住所:鎌倉市扇ガ谷1-17-7
アクセス:JR・江ノ島電鉄「鎌倉駅西口」徒歩10分
地図 → Googleマップ
拝観案内 → 鎌倉紀行 寿福寺
 

鎌倉五山 第五位・浄妙寺へ

さて、鎌倉五山のお寺めぐり、最後は、鎌倉五山 第五位の浄妙寺へ行きましょう。

寿福寺から浄妙寺へは、下の地図の経路のように、鶴岡八幡宮前へ抜け、金沢街道を歩いて行ってもいいのですが、寿福寺からいったん鎌倉駅へ向かい、東口の5番バス乗り場からバスを利用すると楽チンです。

浄妙寺は「浄明寺」バス停から徒歩2分ほどのやや奥まったところにあります。お寺の名前とバス停名(地区名)の漢字が異なるのは、鎌倉五山の格式高いお寺に遠慮してのことなのだそうです。
浄妙寺境内の茶室『喜泉庵』

浄妙寺境内の茶室『喜泉庵』


境内には、大正時代の洋館を改装したレストラン『石窯ガーデンテラス』や、石庭を見ながら抹茶をいただける茶室『喜泉庵』があり、とにかくのんびりできます。『喜泉庵』には美しい音色の水琴窟もあるので、耳を傾けてみましょう。
鎌足稲荷

鎌足稲荷


また、裏山には「鎌足稲荷(かまたりいなり)神社」という小さなお社がまつられていて、鎌倉の地名の由来となった伝説が残っています。境内の由緒書きに、お話が書かれているので、ぜひチェックしてみてください。

<DATA>
■浄妙寺
住所:鎌倉市浄明寺3-8-31
アクセス:鎌倉駅東口バス5番のりばから京急バス「鎌倉霊園正門前太刀洗」行きなど「浄明寺」下車徒歩2分
地図 → Googleマップ
拝観案内 → 鎌倉紀行  浄妙寺

浄妙寺の近隣には、人気の観光名所の竹寺・報国寺や、京都から移築した国指定重要文化財建造物が拝観できる「一条恵観山荘」があるほか、少し先には、横浜市金沢区方面へ続く朝比奈ハイキングコースのスタート地点もあります。
報国寺の「竹の庭」

報国寺の「竹の庭」


時間と体力と相談しながら、ご自分にあった散歩コースをプラニングしてみてください。

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