台風の影響について
鎌倉市役所が発表している情報をご覧ください。2019年台風15号の影響に伴うハイキングコースの状況について
鎌倉アルプス(天園ハイキングコース)とは?
海と山に囲まれた地形の鎌倉には、北部の山の尾根を中心に、いくつかのハイキングコースが整備されています。割と本格的な山歩きが楽しめる鎌倉のハイキングコース
その中で最も距離が長いのが、「鎌倉アルプス」とも呼ばれる「天園(てんえん)ハイキングコース」。北鎌倉の建長寺から鎌倉市東部の紅葉ヶ谷(もみじがやつ)にある瑞泉寺までの約3.8kmを2時間ほどで歩きます。
標高は、最も高いところでも約159メートル。ファミリーやハイキング・トレッキング初心者の方でも、きちんと準備さえすれば、安心して歩くことができます。
鎌倉のハイキングコースマップ(天園ハイキングコースは青いルート) 出典:鎌倉紀行
北鎌倉の建長寺からスタート!
「天園ハイキングコース」は、分かれ道が多く、色々なコースバリエーションを楽しむことができますが、今回は、最も一般的でポピュラーなコースである建長寺~瑞泉寺をご案内します。まずは、北鎌倉の建長寺へ向かいましょう。JR北鎌倉駅から建長寺までは、徒歩で約15分くらいです。
建長寺境内
建長寺の裏山が、天園ハイキングコースのスタートなので、拝観料(500円)を納めて、建長寺の境内に入ります。
建長寺は、禅寺の格付けを示す「鎌倉五山」第一位のお寺。仏殿や法堂(はっとう)などの大きな伽藍(がらん)が建ち並ぶ中を、境内の奥の方へと進んでいきましょう。
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■建長寺
住所:鎌倉市山ノ内8
アクセス:JR「北鎌倉駅」徒歩15分
地図 → 建長寺ホームページ
半僧坊から勝上けん展望台へ
建長寺裏山の中腹には、明治時代に静岡県の方広寺(奥山半僧坊)から勧請(かんじょう)された建長寺の鎮守である「半僧坊(はんそうぼう)」がまつられています。半僧坊は、火防、厄除け等、様々なご利益があるとされます。この半僧坊へと向かう「半僧坊道」は、のどかな散歩道。歩いて行くと、その先に石段があり、いよいよ山登り開始です! この辺りは紅葉が多く、晩秋は、とてもきれいです。
半僧坊への石段と紅葉
およそ200段の石段を上ると、半僧坊に到着。周囲には、半僧坊のお供とされる無数の烏天狗(からすてんぐ)たちがいます。
半僧坊のお供とされる烏天狗
半僧坊から、さらに石段を上っていくと、「勝上(しょうじょう)けん展望台」にたどり着きます(標高145.1m)。
「勝上けん展望台」より。建長寺の境内や鎌倉の市街地を一望する素晴らしい景色が楽しめる
以前は、丸太で組んだ展望台が設置されていましたが、木材が腐食したので、撤去したとのこと。それでも、建長寺の境内や鎌倉の市街地を一望する素晴らしい景色は、変わらず、楽しむことができます。
展望台の少し上で、道が二手に分かれているので、右手の方(瑞泉寺・覚園寺方面)へ進んでいきましょう。ちなみに、左へ行くと、明月院のある明月谷に出ます。
絶景ポイント「鎌倉十王岩の展望」
「勝上けん展望台」から5分ほど歩くと、下の写真のように、真っ直ぐに進む道と、左手の岩の上に登る道が分かれる場所があります。真っ直ぐの道と、左手の岩の上への道が分かれる
写真中央の木の陰に、「かながわの景勝50選 鎌倉十王岩の展望」と書かれた石碑が立っています。
「鎌倉十王岩の展望」の石碑
そして、岩の上(左の道)に登ると、かなり風化が進んでいますが三体の仏像が彫られています。
三体の仏像が彫られた「十王岩」
「十王」というのは地獄で亡者の審判を行う十尊のことですが、この岩に彫られているのは三体のみ。向かって左から如意輪観音・血盆地蔵・閻魔大王なのだそうです。
その昔、この山に向かって吹き上げる風が反響して、麓の村では不気味な泣き声のようにきこえたことから、地元の人の間では「喚き(わめき)十王」と呼ばれているそうです。
そして、この岩の上からは、素晴らしい景色を楽しむことができます!
十王岩からの眺め
この場所は、ちょうど、鶴岡八幡宮の裏手にあたることから、海に向かってまっすぐにのびる若宮大路が見え、その向こうには海が広がっています。また、後ろを振り返ると、横浜方面の景色が見えます。
鎌倉市の最高地点「大平山」へ
さて、また山道を歩いて行きましょう。東京から電車でわずか1時間ほどの鎌倉に、こんなにも豊かな自然が残っているというのは、意外な感じがするかもしれません。ロープを伝って下りなければならない、岩場などもあります。覚園寺方面への分岐点に設置されている道標。天園ハイキングコースは、新しい道標が設置され、分かりやすくなった
十王岩から5分ほど行くと、覚園寺方面、今泉台の住宅地の中に下りる道が分かれる場所がありますが、そのまま歩を進めると、やがて、パッと視界が開ける場所に出ます。
ここが、鎌倉市の最高地点である大平山(おおひらやま)山頂で、標高159.2メートル。(大平山の山頂の位置については、別の場所とする説もあります)
大平山山頂を示す看板
ちょっと急な岩壁を足下に注意しながら下りていくと、下は広場になっているので、休日は、ここでお弁当を広げる人たちも見かけます。
大平山山頂を下から眺めたところ
また、この少し先には、公衆トイレも設置されています。
ハイカーの憩いの場 天園休憩所
大平山山頂から、さらに5分ほど行くと、「天園」に到着します。天園は別名「六国峠」とも呼ばれ、武蔵、相模、上総、下総、伊豆、駿河の六国が望めたことからその名がつきました。天園からの眺望
天園には、以前は、「天園 峠の茶屋」「天園休憩所」の2つの店がありましたが、「天園 峠の茶屋」は2016年に閉店してしまいました。
「天園休憩所」
ちなみに、天園付近には、鎌倉市と横浜市の市境が走っており、かつて「天園 峠の茶屋」があった一段高い場所には、「横浜市内最高地点」を示す案内板が設置されています。標高159.4mですから、先ほどの大平山よりもわずかに高いことになります。
「横浜市内最高地点」を示す案内板
なお、この付近からは、金沢八景方面への道も分かれているなど道が少しややこしいので、迷わないように注意してください。
天園のほんの少し先で、鎌倉屈指の紅葉の名所「獅子舞の谷」へと下りていく道も分かれていますが、今回は、まっすぐ瑞泉寺方面へと向かいます。
「鎌倉の花の寺」瑞泉寺へ
天園から瑞泉寺までは、所々、眺めの良い場所もありますが、基本的には雑木林の中を淡々と歩きます。途中、鎌倉幕府滅亡時に、敗走する幕府軍を、法螺貝(ほらがい)を吹きながら山へと先導したという伝説の地蔵「貝吹地蔵」がまつられています。
貝吹地蔵
天園から約40分で、道は瑞泉寺の裏手へ。石段を下りていくと、瑞泉寺近くの住宅地の入口にある瑞泉寺側の登山口に到着します。
瑞泉寺側の登山口
右手に進み、瑞泉寺を訪れてみましょう。
瑞泉寺は、「鎌倉の花の寺」とも呼ばれ、一年を通して花の多いお寺ですが、もっともきれいなのは、早春の梅と晩秋の紅葉の季節。
瑞泉寺の紅葉と石庭
そして、瑞泉寺で見逃してはならないのが、瑞泉寺を開創した夢窓疎石(むそうそせき)が作庭したシンプルな石庭。夢窓疎石は禅宗の高僧であると同時に、京都の天龍寺や西芳寺(苔寺)の庭も手がけた、日本の中世を代表する庭園デザイナーです。
帰りは、瑞泉寺から目の前の小道をまっすぐ歩いて行くと、10分ほどで鎌倉宮(大塔宮)に到着。ここから鎌倉駅まで、バスが出ています。
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■瑞泉寺
住所:鎌倉市二階堂710
アクセス:鎌倉駅東口よりバス「大塔宮(鎌倉宮)」行き終点「大塔宮」下車、徒歩10分
地図 → 瑞泉寺ホームページ
ハイキングの服装や持ち物は?
鎌倉のハイキングコースは、標高はそれほど高くはないものの、歩きづらい岩場もあります。動きやすい服装、滑りにくい靴、飲料水など、山歩きの最低限の準備は必要です。また、トイレの設置箇所も少ないので、予めすませておきましょう。
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