ろくでなし子さんを応援します!
「女性器の脱神秘化」をコンセプトにアート作品を制作してきた芸術家のろくでなし子さんのことを知り、胸が熱くなるのを感じています。
ろくでなし子さんは「デコまん」という、まん型をポップにデコった作品を制作しています(海外のアート展にも招待されています)。そこに至る経緯は彼女の「デコまん」という漫画に詳しく書かれていますので、ぜひ読んでいただきたいのですが、簡単に紹介すると、こんな感じです。子ども時代からモテないことがコンプレックスだったなし子さんは、頑張って東京の大学に進み、彼氏ができるも、陰毛が濃すぎたり、女性器(小陰唇)の形がヘンだったりという新たなコンプレックスに悩み、小陰唇の整形を決意。手術後の美しい姿を友達に見せたりしていたのですが、周囲の女性たちはろくに自分のアソコを見たこともないということを知り、まん型を取ることを思いつくのです。
やがて、取った型をもとに「デコまん」を作りましたが、それを素晴らしい!と絶賛し、応援してくれたのが、LOVE PIECE CLUB(女性向けのバイブなどを販売する会社。以前からパレードにも協賛してくださっています)の北原みのりさんでした。彼女の励ましのおかげで、アーティストとしてのなし子さんが誕生したのです(本の最後に北原さんの文章も載っています。素敵です)
ゴトウはもちろん、女性器は好きではありません(触ったこともありません)。が、15年くらい前、性解放を訴え(マイナーなセックスのありようを差別せず、あらゆる性を愛でようという気持ちから)「ちんこ」と連呼するパフォーマンスをしていたこともあり、ろくでなし子さんにただならぬ親近感を覚えるのです。勝手に同志だと思っています。
ろくでなし子さんは、クラウドファンディングの寄付のお礼として、作品制作に使用できる自身の性器の型のデータ(3Dプリンタで再現可能)をダウンロードできるリンクを公開したのですが、それによって逮捕されるという、オドロキの事件がありました。海外のメディアは「日本では、卑猥な雑誌や漫画を男性が堂々と電車の中で読んでおり、学校や子どもの遊び場に近いコンビニでもそういったものが平然と売られている。日本がダブルスタンダードだということ」と批判していました。
それから、愛知県美術館で開催中の「これからの写真」展に展示されていた木村伊兵衛賞作家・鷹野隆大さんの男性裸体写真が(「不快に感じる方はご遠慮ください」という前書きがあり、厳重に仕切られ、了解した人だけが観るようになっていたにもかかわらず)わいせつだとして警察から撤去を求められ、やむなく作品の一部をシーツで覆って展示を続けることになったという事件もありました。とある美術評論家の方は「芸術に対する公権力の介入。戦前に後戻りした」と憤慨し、不当介入の撤回を求める署名も集められています。
以前、世界的な写真家、ロバート・メイプルソープの写真集(男性器が写った写真も含む)の輸入をめぐって最高裁まで争われ、芸術的価値が高いということでOKになった前例があります。警察の方はそれをご存じなのでしょうか? そもそも行政府が美術作品を「わいせつ」と判断してよいものでしょうか?
ちなみに「デコまん展」にわざわざ来ておいて怒ったおじさんがいたそうですが(なし子さんは「風俗に来ておいて風俗嬢に説教するおじさんみたい」と語っていますが、本当ですね)、都議会のヤジ問題とも通じるものがありますよね。この21世紀にあってなお、女性は抑圧され続けています(女性だけでなくセクシュアルマイノリティもそうです)。前にも書きましたが、日本という国の真ん中には、「男子たるもの、男らしくしろ。女を娶り、子孫を繁栄させてこそ一人前(女は産んでこそ一人前)」とか「男はエロくあれ。女は慎み深くあれ(男のモノであれ)」といったおじさんの思想(というか、身勝手な欲望)が頑固に居座っているのです。日本って本当に先進国なんでしょうか? 五輪開催国にふさわしいんでしょうか?
男性も女性もセクシュアルマイノリティの人たちも、もっとのびのびと自分らしく性を表現できる日が来ることを切望します。