『フライト・ゲーム』と飛行機映画6選(4ページ目)

心に突き刺さる秀逸な飛行機ドラマに感動！

『フライト』（2012年度作品）
フロリダ州オーランド発アトランタ行の旅客機が飛行中、制御不能になり機長（デンゼル・ワシントン）の技術でなんとか緊急着陸。彼は一躍ヒーローになります。ところが、機長の血中からアルコールが検出されたことから立場は逆転してしまい……。

飛行機映画の枠に入れましたが、こちらはパイロットの人間性に肉迫した秀逸な人間ドラマです。機長が「自分は乗客を救ったじゃないか」と思うか、酒浸りのまま任務についたことを認めるか……。マスコミに追いかけられたり、断酒した機長に誘惑の手が伸びたりとグイグイと惹きつけるサスペンスもありますが、この映画の核は、乗客の命を預かる機長が罪を認めるか否かの決断！　その決断には胸をわしづかみにされる感動があります。
デンゼル・ワシントンは本作でアカデミー主演男優賞候補になりつつも受賞ならず。でもこれ受賞してもよかったと思うな～。さすがデンゼル！とうなる名演です。

監督：ロバート・ゼメキス　出演：デンゼル・ワシントン、ドン・チードル、ケリー・ライリー、ジョン・グッドマン、ブルース・グリーンウッド、メリッサ・レオほか

『ユナイテッド93』(2006年度作品)
2001年9月11日、アメリカ国内で旅客機4機がハイジャックされた。そのうちの1機、ユナイテッド93便のみテロリストの標的をはずれて墜落。ユナイテッド93は飛び立ち、墜落するまでの間に何があったのか……。

『ユナイテッド93』の製作陣はこの事件で被害にあわれた乗客の遺族すべての了解を取って映画化。有名俳優が出演していないのは、リアリティを追求するためです。当時のボイスレコーダー、空港スタッフなど関係者や遺族の取材を入念にして、この機で何が起こったのか……そのときの出来事を見せていきます。
あくまで取材を基にした物語かもしれませんが、テロリストが事件を起こした背景、ハイジャックされたときの乗客の絶望はリアリティを持って胸に迫ります。旅立つ前の幸福な描写さえ、これから起こることを知っているがゆえに、もう最初から泣けてくる……。ちなみに空港スタッフの一部は、事件当時に勤務していたスタッフが本人役で出演。ユナイテッド93の乗客とスタッフへの敬意が感じられる傑作です。

監督：ポール・グリーングラス　出演：ハリド・アブダラ、ポリー・アダムス、オパル・アラディン、ルイス・アルサマリ、デヴィッド・アラン・ブッシェほか

※取り上げた作品以外にも『スネーク・フライト』『大空港』『ダイハード2』『コン・エアー』など数多く作られており、どれも面白いです！　面白い映画になるゆえに、おそらく今後も続々と作られるでしょう。飛行機映画はひとつのジャンルとして成立しそうですね！