海蔵寺 ~鎌倉の奥座敷にたたずむ「水の寺」

海蔵寺山門前のハギ

滝のようにしだれ落ちる海蔵寺山門前のハギ


岩船地蔵堂から左手へ川沿いに歩くと鎌倉駅方面へ向えますが、時間があればいったん右手に進み、海蔵寺まで足を延ばしてみましょう。谷戸の一番奥にひっそりと建つ、奥ゆかしい趣のお寺。9月ごろから、山門前の階段で、滝のようにしだれるハギが迎えてくれます。
海蔵寺の境内

趣ある海蔵寺の境内

鎌倉幕府6代将軍宗尊親王(むねたかしんのう)の命で建てられたお寺で、開山の源翁禅師は、そばを通る人が死んでしまうという「殺生石」を、念力を込めて杖で一撃し、打ち砕いたといわれます。その石のかけらが、このお寺に収められているそう。

山門をくぐるとホトトギスやシオンなど秋の花が咲き、11月ごろなら、深い青のリンドウにも出会えます。
リンドウ

11月ごろ咲くリンドウ


本堂手前左手お堂内の薬師如来像は、胸に小さな扉があります。この中に、かつて源翁禅師が、赤ちゃんの泣き声のするお墓の下から掘り出したという薬師如来のお顔が収められているとか。
海蔵寺薬師三尊像

薬師三尊像。中央の薬師如来の胸には扉が
 

境内には井戸が2つあり、水の寺とも呼ばれています。こちらは、十六の井。弘法大師が掘り、その水で薬を煎じて人々の病を癒したといわれます。十六の穴に澄んだ水がたたえられた、神秘的な空間です。それぞれ、愛や光、喜びなどを表す仏さまにお供えされた功徳水と考えられているそう。お寺の背後に保水力に満ちた緑豊かな山が守られているからこそ、今も絶えることなく水が湧き続けているのでしょうね。
十六の井

神秘的な十六の井


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■海蔵寺
住所:鎌倉市扇ガ谷4-18-8
TEL:22-3175
拝観料:100円
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川沿いを歩いて小町通りや鎌倉駅へ

ススキに似たオギが穂を垂らす扇川

ススキに似たオギが穂を垂らす扇川


岩船地蔵堂に戻り、扇川(おうぎがわ)沿いに歩いていきましょう。水辺には草が茂り、ハゼやカニの仲間など、水辺の生き物がすむ自然環境を、地元の皆さんが大切に守り育てています。突き当りを左に進むと、和風建築の川喜多映画記念館などの前を経て、小町通りへ着きます。そぞろ歩きでお土産など探しつつ、鎌倉駅へ戻りましょう。

北鎌倉から鎌倉へ、歩いて抜ける鎌倉散策。静かなお寺を訪ねたり、歴史の趣漂う切通を歩いたり……しっとりと落ち着いた、素顔の鎌倉に出会えます。坂道があるので歩きやすい靴を履いて、ぜひ楽しんでみてくださいね。
ご紹介するコースの地図

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