西山 彰嘉氏が作り上げるAnn.のビスポークシューズの一例です。イギリス修行組の靴職人の方が我が国でも大分増えてきましたが、彼の作風には他の方とは一線を画する、イギリスの靴にかつて存在した「骨太さ」を感じさせるものです。大阪のキタ・中崎町にあるA&Aのアトリエです。現在イタリアで修業中の別の方と西山氏との共同アトリエに将来はなる予定で、双方の名前の頭文字を採り入れた命名です。こちらは外羽根式の一例です。内羽根式よりもスポーティな印象ばかりが出がちな外羽根式ですが、静かな迫力とでも申せばいいのかな? これなら冠婚葬祭にも十分使えそうな落ち着きも兼ね備えています。こちらはいわゆる「アデレイド」仕様の内羽根式のAnn.の作品例です。このデザインをビスポークで作ると、ともすればひ弱な印象になりがちなのですが、対照的にこの靴には、地に足の着いた安定感が備わっています。店内に備え付けられた、ギロチン的な大型の刃物を使って木型を削って行く台です。×字状の切り刻み(これが滑り止めになります)が説得力満点! 手前のブロック状の木型から奥のもののような形状に仕上げて行きます。前のページの一番上の写真の靴の土踏まず部をアップしてみました。何気なくイミテーションブローグ仕様だったりする訳ですが、うねる線には決して「ブレ」はなく、潔い躍動感を覚えます。西山氏が「べべルドウェストよりもこちらの方が、『美しく仕上げる』難しさを感じる時があります」と語るスクエアウェスト。書道ではないですが、その線には迷いや滲みを一切感じさせません。出し縫い糸を隠す目付の入れ方も丁寧そのものです。こちらはローファーの一例。貴族的な雰囲気が漂っているものの、木型やパターンの線の出方には、やはり「勢い」を感じさせてくれます。こんな靴が似合う大人になりたいと思わせてくれる一足!最初のページの一番上の写真の靴を前方から眺めてみました。木型もパターンも、太い線と細い線との緩急がたまらなく魅力的です。か細いばかりが美しいビスポークシューズではないことを、この靴は教えてくれます。この写真の記事を読む※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。