免除科目の統計問題は絶対に捨ててはいけない
宅建業者にお勤めで登録講習を受講して修了試験に合格していないかたは、宅建試験で統計問題(正確には、「宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること」)を解かなければなりません。出題される内容や出題方法は例年似たり寄ったりなので、しっかりと対策していれば確実に1点取れるところです。ここでは、2014年度(平成26年度)宅建試験に出題が予想される統計についてまとめます。ページを保存して、宅建試験会場でも参照して暗記に役立ててください。
平成26年地価公示
ほぼ毎年選択肢の1つは地価公示(国土交通省発表)の概要からの出題です。1.平成26年地価公示の概要
平成25年1月以降の1年間の地価について
(1)全国平均では、住宅地、商業地ともに依然として下落をしているものの下落率は縮小傾向を継続。
(2)三大都市圏平均では、住宅地、商業地ともに上昇に転換。
(3)上昇地点数の割合は全国的に大幅に増加。特に三大都市圏では、住宅地の約1/2の地点が上昇、商業地の約2/3の地点が上昇。一方、地方圏では住宅地、商業地ともに約3/4の地点が下落。
2.こんな出題が予想されます
「平成26年地価公示(平成26年3月公表)によれば、平成25年の1年間の地価は、全国的に依然として下落を示しており、4年連続で下落率は拡大している。」
⇒ × 下落をしているものの下落率は縮小傾向を継続しています。
「平成26年地価公示(平成26年3月公表)によれば,平成25年の1年間の地価を前年1年間と比較すると,三大都市圏平均で住宅地と商業地ともに下落率が縮小したものの,地方平均は住宅地と商業地ともに引き続き下落率が拡大している。」
⇒ × 三大都市圏平均では、住宅地、商業地ともに上昇に転換しています。
「平成26年地価公示(平成26年3月公表)によれば,平成25年の1年間の地価変動率は,全国平均で住宅地がマイナス0.6%,商業地がマイナス0.5%となっており,住宅地は下落率が縮小したものの,商業地は引き続き下落率が拡大している。」
⇒ × 全国平均では住宅地も商業地も下落しているものの下落率は縮小しています。
住宅着工統計
例年、住宅着工統計(国土交通省発表)から多い時で選択肢2つ分出題されています。なお、住宅着工統計には年度計(4月1日~翌年3月31日)のものと年計(1月1日~12月31日)のものがあります。年計からの出題が多いのですが、まれに年度計からの出題もあるので、念のため両方覚えておきましょう。
1.平成25年の新設住宅着工戸数(年計)
平成25年の住宅着工戸数は、4年連続の増加となった。
(1)総戸数
○25年の新設住宅着工戸数は 980,025戸
○前年比では 11.0%増となり、4年連続の増加
○新設住宅着工床面積は 87,210千平方メートル,前年比 11.2%増,4年連続の増加
(2)利用関係別戸数
【持 家】
○25年の持家は 354,772戸(前年比 13.9%増、4年連続の増加)
【貸 家】
○25年の貸家は 356,263戸(前年比 11.8%増、2年連続の増加)
【分譲住宅】
○25年の分譲住宅は 263,931戸(前年比 6.9%増、4年連続の増加)
マンションは 127,599戸(同 3.6%増、4年連続の増加)
一戸建住宅は 134,888戸(同 10.0%増、4年連続の増加)
2.平成25年度の新設住宅着工戸数(年度計)
平成25年度の新設住宅着工戸数は、4年連続の増加となった。
(1)総戸数
○25年度の新設住宅着工戸数は 987,254戸
○前年度比では 10.6%増となり,4年連続の増加
○新設住宅着工床面積は 87,313千平方メートル,前年度比 9.9%増,4年連続の増加。
(2)利用関係別戸数
【持 家】
○25年度の持家は 352,841戸(前年度比 11.5%増,2年連続の増加)
【貸 家】
○25年度の貸家は 369,993戸(前年度比 15.3%増,2年連続の増加)
【分譲住宅】
○25年度の分譲住宅は 259,148戸(前年度比 3.8%増,4年連続の増加)
マンションは 123,818戸(同 0.2%減,4年ぶりの減少)
一戸建住宅は 133,906戸(同 7.5%増,4年連続の増加)
3.こんな出題が予想されます
「建築着工統計(平成26年1月公表)によれば、平成25年の持家戸数は4年連続で増加しているものの、貸家戸数は2年ぶりに減少している。」
⇒ × 貸家戸数は2年連続で増加しています。
「建築着工統計(平成26年1月公表)によれば,平成25年の新設住宅着工戸数のうち持家は約35.5万戸で,4年ぶりに増加した。」
⇒ × 持家戸数は4年連続で増加しています。
建築着工統計(平成26年4月公表)によれば,平成25年度の新設住宅着工戸数は約98.7万戸で,対前年度比では約10.6%減となった。
⇒ × 10.6%増となっています。
法人企業統計
財務省が例年9月に公表する法人企業統計年報の不動産業の経常利益と売上高から出題されています。経常利益のほうが頻出となります。1.不動産業の経常利益の推移
平成24年度法人企業統計年報(平成25年9月公表)によれば,平成24年度における不動産業の経常利益は約3兆1,000億円となっており,対前年度比6.2%減となった。
2.不動産業の売上高の推移
平成24年度法人企業統計年報(平成25年9月公表)によれば,平成24年度における不動産業の売上高は約32兆7,000億円となっており,対前年度比8.5%減となった。全産業の約2.4%を占めている(全産業:1,374兆5,105億円)。
3.こんな出題が予想されます
「平成24年度法人企業統計年報(平成25年9月公表)によれば、平成24年度における不動産業の経常利益は約3兆1,000億円となっており、前年度比6.2%増となった。」
⇒ × 前年度比は6.2%減となりました。
「平成24年度法人企業統計年報(平成25年9月公表)によれば,平成24年度における不動産業の経常利益は約3兆1,000億円となっており,2年連続の増加となった。」
⇒ × 2年連続の減少となりました。
「平成24年度法人企業統計年報(平成25年9月公表)によれば,平成24年度における不動産業の売上高は約32兆7,000億円で,全産業の売上高の約2.4%を占めている。」
⇒ ○
土地の動向
国土交通省が例年6月に公表する土地白書の中に記される土地取引件数の推移と土地利用の動向から出題されています。他の統計と同様に対前年比等の動向が正誤を分けるポイントとなっています。1.土地取引件数等の推移
土地取引について、売買による所有権の移転登記の件数でその動向を見ると、平成25年の全国の土地取引件数は128.1万件(前年比 6.4%増)となり、2年連続で増加した。
2.土地利用の動向
平成 24 年におけるわが国の国土面積は約 3,780 万 ha であり、このうち、森林が約 2,506万 ha と最も多く、それに次ぐ農地は前年より減少して約 455 万 ha となっており、これらで全国土面積の約8割を占めている。このほか、住宅地、工業用地等の宅地は約 190 万 ha、道路は約 137 万 ha、水面・河川・水路が約 134 万 ha、原野等が約 34 万 ha となっている。
3.こんな出題が予想されます
「平成26年版土地白書(平成26年6月公表)によれば,平成 24 年におけるわが国の国土面積は約 3,780 万 ha であり、このうち、森林が約 2,506万 ha と最も多く、それに次ぐ農地は前年より増加して約 455 万 ha となっている。」
⇒ × 農地は前年より減少しています。
「平成26年版土地白書(平成26年6月公表)によれば,平成25年の全国の土地取引件数は128.1万件となっており、対前年比6.4%減とここ数年減少が続いている。
⇒ × 対前年比6.4%増となり、2年連続で増加しています。
宅地建物取引業者数等
国土交通省が公表する国土交通白書から、宅建業者数や処分数などが出題されています。出題頻度は低いですが、平成14年以降で4回出題されているので念のため暗記しておきましょう。1.不動産業を取り巻く状況
不動産業は、全産業の売上高の2.4%、法人数の11.1%(平成24年度)を占める重要な産業の一つである。
既存住宅の流通市場については、指定流通機構(レインズ)注1の24年度の成約件数が15.1万件(前年度比10.6%増)と堅調に推移している。
2.宅地建物取引業法の的確な運用
宅地建物取引業者については、122,510業者(平成25年3月末)であり、近年、微減傾向が続いている。
平成24年度の監督処分件数は258件(免許取消129件、業務停止51件、指示78件)となっている。
3.こんな出題が予想されます
「平成25年度国土交通白書(平成26年7月公表)によれば,平成25年3月末現在の宅地建物取引業者数は約12.3万業者となっており,前年度に比べわずかながら増加した。
⇒ × 微減傾向が続いています。
統計問題で正解するコツ
最後に、統計問題で正解するコツを少し。上記のような問題が出題されるのですが、それ以外はあまり深い入りしないことをお勧めします。
宅建試験は4肢択一式なので、最大4つのうち3つの選択の内容が分かれば正解できます。全部わかる必要はないのです。
なので、幅広い知識を身に付けるのではなく、少ない知識でも正確に暗記すれば正解は出せます。
宅建試験当日に、このページを参照し(またはノート等に書き写したものなどを参照し)、13時に試験が開始された瞬間に先に解いてしまいましょう。試験開始20分前にはテキストも携帯電話もしまうように言われるので、そのあたりも計算してギリギリまで暗記しましょう。
この記事をみた皆様が、統計問題で1点取れることをお祈り申し上げます。
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