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マンション価格上昇 購入VS賃貸 どっちがお得?(2ページ目)

新築マンション、中古マンションともに大きく上昇した首都圏マンションマーケット。売れ行きは、全般的に堅調さを維持しているものの好調物件、苦戦物件の2極化も見られます。価格の上昇で、また議論が起こりそうな「購入VS賃貸」を金銭面だけではない点も含めて考えてみました。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド

賃貸と購入の大きな違いはコミュニティ
賃貸入居者の約4世帯に1世帯が1年で退去

内閣府が平成21年に実施した、「高齢者の日常生活に対する意識調査」によれば、現在の住居の満足度として『持家』の場合は「満足している」が53.4%、「ある程度満足している」が37.8%であるのに対し、『賃貸住宅』の場合は、「満足している」が27.6%、「ある程度満足している」が42.3%。「不満である」は、『持家』がわずか1.4%であるのに対し、『賃貸住宅』は、12.8%。『持家』の方が満足度が高いことがわかります。リフォームなどある程度自由が効く持家の方が、老後の住まいとして住みやすいといった要因もあるでしょう。
「月島荘」のクラスターリビング

社宅をシェアする「月島荘」のクラスターリビング

賃貸の場合にもう一つ留意したいのは、コミュニティ形成がなかなか難しい面です。シェアハウスや共用スペースで住民同士のイベントを開くなど、コミュニティづくりに積極的なオーナーさんが運営するマンションも最近登場していますが、大半はコミュニティづくりには消極的。賃貸マンションによっては、住戸によって賃貸条件が異なる場合もあり、あまり情報交換してほしくないというのが賃貸オーナーの本音ではないでしょうか。東日本大震災の際に、マンションのコミュニティは、防災面で大きな力を発揮しました。非常用の備蓄なども賃貸の場合は、個人任せといったケースが多いと思います。

また、入居者のマナーや大切に使おうという意識も分譲マンションの方が強いと思います。分譲マンションの中には、地権者住戸などが当初から賃貸に出されるケースもありますが、「購入者と賃貸利用者では意識が違う」といった話をマンション入居者の方から聞いたことがあります。所有者意識が強かった20年以上前のマンションで、居住者世帯の名札を貼っているマンションを見たことがあります。少なくともどんな名前の人が住んでいればわかります。一方、賃貸専用の単身者向けマンションなどは、郵便受けにも名前を入れていない人が多いです。

転居する人の割合も賃貸マンションの方が多いです。平均的な世帯では、約4年強で転居します。こうした事情を考えるとシェアハウスなどのようにコミュニティづくりの仕掛けが当初から無いと賃貸専用マンションでコミュニティはなかなか期待できないのではないでしょうか。分譲マンションの賃貸住戸が比較的人気が高いのは、そうした面もあるのだと思います。

先行き不透明な時代だから買うという選択も
「自らのしたい」を優先しよう

「購入か賃貸か」は、どんなライフスタイルをその人が求めるかによっても異なってくるでしょう。また、何を職業としていて転勤や転職などこれからどんな人生を送ろうと考えているかによっても違ってくるでしょう。

個人的な意見としては、やはり賃貸は贅沢だなあと思います。都心で高級賃貸に住んでいる方の多くは、法人契約で家賃補助が出る大手企業の会社員が一部の住居費が経費で落とせる会社役員などです。賃貸のメリットが大きいのです。

大手の金融機関のように社宅が完備され転勤の多い方が購入を敬遠するは当然でしょう。また、賃貸マーケットが飽和状態になりつつある今は、賃貸は引越しした方が得、購入はある程度住みつづけたほうが得とも言えるのかも知れません。購入・賃貸それぞれ理想の住まいを見つけることが大切でしょう。

『先行き不透明だから、買う』という選択も購入準備が出来ている人ならありだと思います。まずは「自分のしたい」を描きつつ、住まいさがしを始めてはいかがでしょうか?

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