マンション相場・トレンド/マンション相場・買い時

今はどっちがお買い得?一戸建てVSマンション

新築マンションの着工件数が減少する中、新築一戸建ての供給が活発化しています。価格動向を紹介しながら、一戸建てとマンションを選ぶ際の視点を紹介します。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド

戸建てのマンション、お買い得はどっち
首都圏では、マンション価格は上昇し一戸建て価格は横ばい

イメージ写真

新築マンションの着工戸数は減少(写真はイメージ)

国土交通省発表の住宅着工統計2014年6月によれば、平成26年6月の分譲マンション着工戸数は、7,754戸で対前年比24.5%のダウン。一方一戸建ては、11,491戸で対前年比1.4%の減少。工事費の上昇で分譲マンションの着工戸数が減少している一方、分譲一戸建ての減少幅は軽微です。同統計の上半期の集計でも、分譲マンションの着工戸数が-20.8%に対し一戸建ての着工戸数は-2.8%。着工戸数の開きが顕著です。

この開きの要因として挙げられるのが、構造の違いによるコスト差。分譲マンションの多くが、鉄筋コンクリート造。一方、分譲一戸建ての多くは木造です。鉄筋やコンクリートなどの建設資材が上昇し、型枠職人など躯体系職人が不足しがちで労務費の上昇にもつながっています。一方、一戸建ては長く需要不足で木材価格が低迷。設備機器や労務費の上昇で建築費の上昇傾向はあるもののマンションに比べれば限定的です。

戸建て

マンション供給大手の戸建ての供給は活発

東日本不動産流通機構発表の月例速報7月度によれば、首都圏の7月の新築戸建の登録件数は、7,432件で前年比31.5%。5月、6月も対前年比30%以上アップしており3カ月連続。首都圏では一戸建ての供給戸数が大幅に増えています。一方、不動産経済研究所発表の首都圏のマンション市場動向7月度によれば、首都圏の7月の新築マンション供給戸数は、対前年比20.4%減少の4,222戸。6月も28.3%減だったので2カ月連続で前年比2割以上の減少です。価格は、マンションが5,128万円で前年同月比7.9%アップ。一戸建て(東日本不動産流通機構発表の月例速報7月度)は、3,607万円。前年比で1.1%のマイナスです。現在のトレンドでは、新築マンション価格が上昇する一方で一戸建ては価格が上昇しない状況が首都圏では起きているようです。また、郊外エリアの一戸建てのラインナップを見ると、分譲マンション供給大手の分譲戸建てが目立ちます。新築マンションのまとまった供給が用地不足や建築費の上昇で難しくなっており、分譲戸建て事業に注力するディベロッパーも増えてきているようです。

こうした価格動向は、中古価格にも影響しています。7月度の首都圏中古マンション価格が、前年同月比+2.1%の2,625万円に対し中古戸建の成約価格は前年比-4.5%の2,866万円(ともに東日本不動産流通機構発表)。一戸建ては個別性が強いとはいえ、弱含みです。

比較の難しいマンションと戸建て
耐用年数が重要なモノサシ

先日、江東区の某駅の市街地を歩いていると建売住宅(小棟)の現場に出会いました。価格は4,000万円台前半。駅10分圏で南道路の3階建て。土地面積は50平米を割っていましたが価格の安さに驚きました。このあたりは分譲マンションの人気エリア。新築マンションなら坪単価260万円前後。70平米ぐらいの広さでも5,000万円台半ばの相場観です。

戸建ての価格設定の理由を考えてみました。まず南道路とはいえ道路幅が3m台半ばだった点。車は通れますが周囲も容積率が高いため3階建ての住宅が多く日照や景色の抜け感はありませんでした(当該住宅は駐車スペースなし)。もう一つ気になったのが、地盤です。当該地は、運河も周辺にある海近くのエリア。地盤改良をしたとしても、周辺には及びません。一定の不安は残るでしょう。マンションであれば、支持層まで杭入れをし免震装置や制震装置などの対策も可能です。高層建築物が建ちやすく、日照条件が厳しくなる可能性が高い同エリアでは、マンションの方が市場性が高いのでしょう。行政区によってマンションに住む人の割合に違いがあるように、地域性によってマンション適地と戸建て適地は異なってくるでしょう。戸建てに適している場所かマンションに適している場所なのかは、資産性に影響しそうです。
国立の街並み

国立の街。低層住居が建ち並ぶエリアは、戸建ての住宅街としては良好な環境

また、建物の耐久性も一戸建てとマンションを比較する大きな要素です。建物が老朽化しても土地が残る分、一戸建てが有利との見方もあるようですが建替えのコストを考えるとそうとも言い切れません。地方都市では、土地価格が200万円未満なのに解体費が200万円以上もかかる逆ザヤになるケースも出てきています。空家問題も顕在化する中、どれだけ長く心地よく使えるかは、住宅選びの重要な要素に今後ますますなっていくでしょう。

耐久性をだけを考えると鉄筋コンクリート造が主流のマンションに軍配が上がります。しかし、共用部などの修繕など維持・管理面はマンションによって異なります。管理状態が悪く、経済的な価値が下がると住戸は十分使えても住み心地は低下します。建物全体の維持管理状態もマンションの場合押さえる必要がありそうです。また、一戸建ては、プロジェクトごとに工法や仕上げが異なるケースが多いです。また地盤など土地の状態はマンション以上に重要です。よく確認してから購入しましょう。

次のページでは、引き続き戸建てとマンションのガイドの考えを紹介します。
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