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1年前と比べるグリー業績悪化の質の違い(3ページ目)

かつてはソーシャルゲームで大躍進した企業の代名詞に挙げられていたグリー、しかし従来の携帯電話からスマートフォンへと市場が移って行くにしたがって、非常に難しい状況が続いています。その業績を1年前と比較して、グリーが今どうなっているかを考えます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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うまくいかない時こそ、新しいことをするチャンス

クロスサマナーの図

グループ企業となったポケラボがリリースする予定のクロスサマナーなど、新規性の高いタイトルを投入して現状打破を狙います。(イラスト 橋本モチチ)

成長が頭打ちになったのにコストは増大したため利益が減ってしまった1年前。コストカットに挑んだものの、削減したコストよりも売り上げの方が遥かに大きく落ちてしまって、ユーザーが離れ始めている現状。ただし、まだかなりの規模で利益は確保しています。さあどうするのか、ですね。

この状況に対し、グリーはスマートフォン向けのゲーム市場に力を入れることで解決を図ります。スマートフォン用に作られたゲームアプリのことをネイティブゲームなどと呼びますが、グリーのネイティブゲーム事業を既存の300人規模から1,000人規模に増強し、開発ラインを10ラインから20ラインに倍増。そして、携帯電話時代のブラウザゲームでは実現できないような、スマートフォンならではの新規性の高いゲームで勝負を賭けます。

実はここのところが1年前とは全然違うんですね。1年前はタイトル数を整理して、「選択と集中」を掲げ、少数精鋭でヒットを目指すとしていましたし、「ヒットタイトルのゲームエンジンを活用し、開発費を抑制しながら新規タイトルを投入」という言い方をしていました。それが、大量の人員を投入して、タイトル数を増加し、今までにないようなゲームを作る、という方向にシフトしています。

スマートフォンのゲームはまだまだ成熟したとは言い難い分野です。ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」や、ミクシィの「モンスターストライク」といった大ヒットが目立ち、それに倣ったゲームも多数登場していますが、もっともっと多様な、新しい可能性が残されているはずです。

グリーは売り上げが落ちているとはいえ、新しいことをする体力は十分にあります。そして、売り上げが落ちているからこそ、新しい道を模索できるということもあるかもしれません。新規性の高いゲームを開発することも、それを多くの人に遊んでもらうことも決して簡単なことではありませんが、そのチャレンジを大いに歓迎し、期待したいと思います。

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