長期金利は0.5%割れをうかがう水準に
先進国を中心とした長期金利の低下を受けて、あるいは日本銀行の国債買入れにより需給がタイトであることを反映してか、2014年6月に引き続き、7月も長期金利は低下しています。6月27日には0.555%の低水準まで低下、7月18日には一時0.51%まで低下しました。0.51%まで低下したのは2013年4月以来のことですが、財務省が公表している国債金利情報(終値ベース)においても0.51%を付けたのはほんの数日しかありません。景気の回復、物価上昇という背景を考えると、異常な水準まで低下していると言っても過言ではないと思われます。
異常な水準であったとしても、その水準が長続きすればそれが普通の状態になることから、長期金利の動向には注意を払うべきでしょう。余談ですが、日経平均株価が1万5700円台に上昇しても、ほとんど長期金利は上昇していないことから、先行きの景気後退を長期金利の低下が示唆しているのかもしれません。
先月も述べましたが、長期金利の低下は新規に住宅ローンを組む人、住宅ローンの借り換えを考えている人には朗報です。ただし、今後の長期金利の動向次第という注釈が付きますが、住宅ローンは限り無くボトム圏に達しつつあると思われてなりません。
フラット35は史上最低を更新
長期金利が0.5%割れをうかがう水準まで低下したことから、2014年8月の融資実行金利は3ヵ月振りに史上最低を更新しました。主力の返済期間21年以上が1.69%、返済期間20年以下が1.41%です。返済期間21年以上のこれまでの史上最低が1.73%でしたから、0.04%の引き下げ(返済期間20年以下も引き下げ幅は同じ)となりました。返済期間21年以上は初の1.6%台に突入ということになりましたが、今後はどこまで低下するのかが気になるところでしょう。2014年8月の融資実行金利は長期金利の低下幅に見合う引き下げ幅ということができますが、同年6月、7月は長期金利が低下したにもかかわらず、フラット35の金利が引き下げられることはほとんどありませんでした。
長期金利の低下幅が少なかったと言えばそれまでですが、長期金利が0.5%台の前半まで低下していることから、長期金利がある程度の幅で今後も低下し続けていくのは考えにくいと思われてなりません。先月も述べたように、やや市場金利(長期金利)との連動性も薄れ、また今後の長期金利の低下幅も大きくないと予測されることから、フラット35の適用金利はほぼボトム圏に達しつつあると考えるべきでしょう。
民間銀行も8月は適用金利引き下げ
2014年7月の長期金利の低下幅は6月を大幅に上回ったことから、民間銀行の固定金利選択型の8月の融資実行金利も、固定選択期間5年以上を中心に0.05%以上引き下げられています。固定金利選択型の優遇金利競争の沈静化は続いていますが、一部銀行の変動金利に動きがありました。メガバンクの融資実行金利は7月変わりませんが、ソニー銀行の変動金利は0.589%と0.01%引き下げられたうえ、8月15日以降からは自己資金が10%以上の場合の優遇幅を1.3%から1.35%に拡充する予定です。拡充されると融資実行金利は0.539%まで低下することになります。
変動金利に関してはイオン銀行が、2014年12月31日までに申し込み、2015年3月31日までに借り入れた分の変動金利の優遇幅を1.80%としています。2014年8月の変動金利の店頭表示金利は2.37%ですので、優遇金利は0.57%になります。長期金利がさらなる低下、かつ優遇金利競争が激化すれば変動金利は0.4%台へ低下するかもしれません。
なお固定金利選択型の優遇は、三井住友信託銀行の当初5年を0.50%、同10年を1.10%と先月と変わっていません。