R&Bやソウルミュージックもジャズと同じ、アメリカで生まれた偉大な音楽です。この3つのジャンルは言ってみれば親戚同士のようなもの。これまでも接点となるような音楽が多く生まれてきました。今回は、そのR&Bやソウルミュージックの中で名曲と呼ばれる曲を、ジャズとして演奏したものをご紹介します。

第3位 レイ・チャールズの名唱で名高い「ジョージア・オン・マイ・マインド」エルモ・ホープ 「ホープ・ミーツ・フォスター」より

 

ホープ・ミーツ・フォスター

ホープ・ミーツ・フォスター

「ジョージア・オン・マイ・マインド」といえば、何といっても盲目の弾き語りシンガー、レイ・チャールズ。「ソウルの神様」と呼ばれたレイの1960年の大ヒットです。これほど、レイのカラーに染まった曲もありませんが、実はもともとはジャズのスタンダードとして有名な曲でした。

作曲したのは「スターダスト」で有名なホーギー・カーマイケル。ホーギー自身も弾き語りで有名です。この曲は、レイ・チャールズに取り上げられたことにより、ジャズと言うよりもR&Bのイメージが定着しました。そしてこの曲は、アメリカのジョージア州の州歌としても有名です。

今回ご紹介するのは、レイの熱唱の5年前、純粋なジャズとして演奏されたバージョンです。典型的な「ビ・バップ」のフォーマットでピアニストのエルモ・ホープによって演奏されたものです。

エルモ・ホープは「モダン・ジャズ・ピアノの開祖」バド・パウエルと幼馴染だったという人。当たり前ですが、生粋のパウエル派のピアニストです。小さい頃から仲の良かったバドの後を一所懸命に追った人ですが、メジャーな成功からは縁がなかった人です。

そのやや不運なエルモと共演するのは、テナーサックスのフランク・フォスター。フランクは、カウント・ベイシー楽団で、サックス奏者兼アレンジャーとして活躍した人です。

演奏は、エルモのミディアムテンポでの軽快なイントロから、フランクによって、あの有名なテーマが奏されます。レイの、重厚な歌のイメージからすると、なんとも軽いノリのサックスに、少し拍子抜けしてしまうかもしれません。

後にジョン・コルトレーンにあこがれ、コルトレーン派になるフランクですが、この当時は、正真正銘のビ・バップ・テナー。音色もそっくりなソニー・スティット風です。よどみなく流れる滝のようなアドリブを繰り出す名人ソニー・スティットから比べると、少々フレーズの詰めが甘く、流れも弱い感じです。

そうなると、この稀代の名曲が、より一層なんでもない曲に感じられてくるから不思議です。おそらくは、ジャズでのこの曲の立ち位置は、こういったところだったと思われます。

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Very Best of

Very Best of

そうしてみると、この曲を取り上げ、熱唱を聴かせ、大ヒットさせたレイ・チャールズの偉大さがひときわ光ってきます。レイは、もともとはピアノのほかにアルトサックスを吹き、ジャズも演奏していたミュージシャンでした。

ジャズ畑では、ヴァイブのミルト・ジャクソンと録音を残しており、こちらも素晴らしい出来です。自身のバンドのホーンセクションからは、アルトサックスのハンク・クロフォードやテナーサックスのデヴィッド・ニューマンなど、通好みの名人を輩出しています。

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Soul Brothers-Soul Meeting

Soul Brothers-Soul Meeting

そういった、ジャズに対する理解が、レイの音楽活動の幅を広げたことは間違いがないところです。レイのほかにも、R&Bやソウルミュージックで活躍するミュージシャンの中には、ジャズバンド出身という人が少なくありません。

クインシー・ジョーンズジョージ・ベンソンはもとより、アース・ウインド・アンド・ファイヤーのモーリス・ホワイト(ラムゼイ・ルイス・トリオのドラマー)やジャズの弾き語りをしていたノラ・ジョーンズなど。多くの成功したミュージシャンがジャズからインスピレーションをもらって活躍しています。

次ページでは、ソウルの大物ヴォーカリストの熱唱が登場です!

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