教育費そのものもじわじわと上昇している
「世帯年収「減」時代の教育費負担の現状」でも書きましたが、右肩下がりの世帯年収に対し、在学費用の占める割合はじわじわと上昇しています。この記事ではもう少し細かく、教育費上昇について数字を見ていきたいと思います。まずは文部科学省「子どもの学習費調査」を使って、ここ10年の幼稚園から高校までの学費の変化をたどってみましょう。
●幼稚園から高校までにかかる費用、10年前との比較
この10年の増加率を見てみると、公立の小学校と中学校では学校教育費(給食費)も学校外活動費(習いごとや塾など)も増加していますが、意外と私立では学校外活動費が横ばいになっていることがわかります。
景気が停滞し、子どもの数も減っている今、1人あたりの負担額が上がっているのは間違いありません。一方、私立に通う子どもだと学費負担も大きいため、習いごとや塾に対する支出を抑えているご家庭が多いのかもしれません。
続いて、教育費のピーク時ともいえる大学でかかるお金について見てみましょう。
●国立大学・私立大学の入学料・授業料の推移
平成6年の授業料は、国立が41万1600円、私立が70万8847円でした。しかし平成25年には、国立が53万5800円、私立が86万72円。いずれも10万円以上も上昇しています。
平成25年に大学生となった子どもは、一般的に平成6年生まれ。誕生当時に想定していたよりも費用はこんなに上がってしまったのです。最長18年間という中長期間で準備する教育資金の難しいところは、将来実際に必要になる金額が読めないことなのです。
それだけではありません。政府は今後、物価上昇を目指す政策を打ち出しています。今後、収入が物価上昇を上回ってすぐに増加することは想定しづらく、家計全体に与えるダメージは大きいでしょう。となると、現在水準の教育費をベースにして教育資金を準備すると、将来足りなくなる可能性もあります。
次ページでは、どのように教育資金を準備していけば良いか考えます。