もしも遅刻をする事が何らかの怒りの表現であるならば……

遅刻しがちな人は、その原因をはっきり認識されていますか? 問題が何も生じていない場合は注意すればよいですが、何らかの怒りの気持ちが定時までに出社できない原因になっている事はないでしょうか?

人の印象を表わす言葉に、「ポジティブ」、「ネガティブ」という言葉があります。「ポジティブ」な人の、物事を良い方向に向けるような行動は基本的には素晴らしい事です。

一方「ネガティブ」な人の行動は、物事が良い方向に向かうようにはあまり見えないものです。例えば職場に頻繁に遅刻しては、もっともらしい言い訳をする。あるいは、自分の境遇を周囲の人にいつも大げさにこぼす……。

もしこうした傾向が過剰になれば、特に対人関係上で何かしら問題が生じると思います。そして場合によっては、その気質が「パーソナリティ障害」と診断される可能性もあります。今回は、何かへの怒りの気持ちがネガティブな態度につながってしまう「受動攻撃性パーソナリティ障害」を詳しく解説します。


愚痴はストレス解消の有力な手段ですが、過剰になれば……?

誰でも日常のストレスが強くなれば、時には愚痴をこぼしたくなるもの。例えば、仕事が悲鳴を上げたくなるような忙しさである場合。暦は休日でも仕事に向かわなければならず、駅で楽しそうな家族連れの旅行客を見ると思わず妬んでしまい、仕事のモチベーションが一気に無くなった……といった事もあるでしょう。もっともこれはこの厳しい現代社会ではしっかり乗り越えたい、一時的なメンタルの動揺にあたるでしょう。

しかし自分の境遇に対して、不遇に思う感覚が不合理なほど強く、周囲の人にいつも大げさに愚痴を言ってしまう。物事へのモチベーションもなくなり、何事もできるだけ先伸ばしにする……といった傾向が強まれば、受動攻撃性パーソナリティ障害に近くなっている可能性もあります。

※「受動攻撃性パーソナリティ障害」:国際的な精神疾患の分類基準の一つ、アメリカ精神医学学会の「精神障害の診断と統計マニュアル」では研究用のカテゴリーです。


何かへの怒りの気持ちがネガティブな態度につながってしまう

受動攻撃性パーソナリティ障害の特徴は、日常生活に深刻な支障が生じるほど、言動や行動がネガティブになっている事。その際、自分の気持ちを周囲の人に対して明確に示す事は少なく、周囲の人には受け身的あるいは従属的な立場を取りながら、いわば隠れた形で相手に抵抗します。

例えば周囲の人から、何らかの成果を出すように求められると、はっきり自分の気持ちや意見は口にする事は少なく、いわばサボタージュ的に物事を先延ばしてしまい、決して周囲が望むような成果は出しません。

こうしたネガティブな行動が生じる背景には、実は何かへの心の怒りがあります。それは自分に何かをするよう求めた相手の態度、あるいは自分の現在の境遇に対する強い不遇感かも知れません。個人個人の状況によりますが、受動攻撃性パーソナリティ障害では、そのネガティブな言動や行動自体が心の怒りを表現したものと見る事もできます。

受動攻撃性パーソナリティ障害では、日常的に怒りの気持ちが生じやすくなっています。自分のすべき事は他人に押し付ける傾向があり、自分のために何かをしてくれるその相手に対しても、不満を覚えると「いい加減に自分を扱ってる!」といった怒りが生じやすくなります。そのため平穏な対人関係を保つ事が難しくなるなど、日常生活上さまざまな困難が生じる可能性があるのです。


受動攻撃性パーソナリティ障害は基本的には精神科受診が望ましい!

パーソナリティ障害自体はその症状をその人の気質の表われと見なせる面もあり、自分自身の思考や行動パターンが問題の原因になっているとは、なかなか認識しにくいものです。たとえば受動攻撃性パーソナリティ障害の場合は、何かへの怒りの気持ちが自分の行動パターンを支配しているとは、なかなか気付きにくいでしょう。

しかし受動攻撃性パーソナリティ障害では、日常的に強いイライラ感や不安感、そして抑うつ感も現れやすく、日々の暮らしに楽しみを見出し難いです。また日常生活で生じやすいさまざまな困難や問題は、アルコール依存症やうつ病など、他の心の病気にもつながりやすいものです。そのため受動攻撃性パーソナリティ障害は基本的には精神科(神経科)を受診し、心理療法などの治療を受ける事が望ましいです。

自分の境遇に対する不満が非常に強く、「楽しい!」と感じる時間が全くないようならば要注意です。専門家からはっきりそれを指摘される事が、自分の行動パターンを見つめ直す機会にもなります。以上、述べてきた症状に思い当たる場合、精神科を受診してみる事も事態が上向くきっかけになり得る事はぜひ、ご留意ください。


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