ガウディのパトロンの邸宅
グエル邸は、アントニ・ガウディのパトロン、エウセビ・グエル氏の個人邸宅。1885年~1890年にかけて建設され、1984年にユネスコの世界遺産に登録されました。7年間の大規模な修復期間を経て、2011年に再オープン。修復期間中は見学できなかった住居スペースなども開放されています。グエル氏は、この邸宅を建設するにあたって資金にめどを付けず、細部における装飾などでできる限りの贅を尽くしたと言われています。ガウディのパトロンということもあり、モデル二スモ建築の最高峰を目指したのでしょう。そんなグエル邸の魅力に迫ります。見所1 エントランス
優美な装飾を施した2つの鉄格子の門を抜けると、真ん中に中二階へ続く階段が現れます。階段を上らずに奥へ進むと守衛小屋があり、その奥には馬車子、ワインや農作物などを保管する蔵などがあったスペースに着きます。蔵は、現在はお土産物店になっています。大理石の柱に支えられた中二階へ続く階段はエレガントそのもの。馬車子の天井の装飾も地味ながら素晴らしい手工芸技術が垣間見られます。
馬車子を奥へ進むと地下に繋がる廊下に出ます。
見所2 厩舎
地下の厩舎は建物の外観からは想像のつかない異空間。細かい石を積み上げた多数の柱がアーチ状に天井を支えており、まるでイスラム教のメッカのような雰囲気です。厩舎だったこのホールには、ムデハル様式というスペインのカトリック文化とイスラム文化が融合した、中世の時代に栄えた建築様式が使われています。柱にはグエル氏が実際に使っていたという馬を繋ぐ金具が残されています。見所3 メインフロア
見学の順序に従うと、地下の後、再び1階に戻り、中央の階段を上って中2階に向かいます。中2階は階段の踊り場のような小さなスペースではありますが、実業家として活躍していたグエル氏の事業の管理室として使われていました。そこからさらに階段を上ると、なんと9つも部屋があるメインフロアです。幾何学模様に木を組み込んだ天井、階段の手すりを背もたれとして活用させているベンチ、カラフルなステンドガラスなど注目したい部分が集まっています。なかでも目を見張るのは、豪華な食堂。綿密な装飾が施された椅子や暖炉があります。もう1点注目すべきは中央サロン。客を招いてコンサートが行われたときの鑑賞席でした。絵画のコレクションや、金箔で彩られた壁が上流階級の社交場を象徴しています。
見所4 屋上
他のガウディの建築物を見た人なら、グエル邸のなかで一番ガウディらしいと思う部分はテラスでしょう。メインフロアの上の中3階、その上の寝室部分、洗濯など家事全般が行われていた屋根裏を経て、ここは見学の一番最後になります。屋上には全部で20本のキノコのような煙突があります。そのうち14本が様々な色の破砕タイル、陶器やガラスなどで色彩豊かに装飾されています。また屋上の中心には建物に光を取り込むための15メートルの塔もあります。グエル邸のあるラバル地区やゴシック地区にあるカテドラルなどがかわいい煙突越しに見られる夢のある空間です。
見学はかなり詳しい説明が日本語で聞けるオーディオガイドがつきます。さっと見て通るだけではもったいないので、是非じっくり訪問してみてください。
<DATA>
■Palau Güell(グエル邸)
住所:C/Nou de la Rambla 3-5, Barcelona
TEL:(34) 93 472 5775
開館時間:10:00~20:00(11~3月は~17:30)
閉館日:月曜、12月25、26日、1月1日、6日~13日
入館料:12ユーロ(夏季日曜17:00~20:00、冬季第一日曜無料)