歴史ある大聖堂の周囲に広がる、「カワイイ!」にあふれた旧市街
ポルヴォーの象徴的な風景は、川沿いに立ち並ぶ赤い木造倉庫群と、街のてっぺんにそびえ立つ白壁の大聖堂。その周囲にはカラフルな木造の家並みと石畳の路地坂が続く
フィンランド旅行の計画をたてる際に、滞在日数が限られているので今回はヘルシンキステイのみで……と考える人も多いと思います。それでももし、どこかで半日~1日くらいのゆとりがあるなら、ヘルシンキの近代的な街並みを出て、古き良きフィンランドの中世都市へとタイムトリップしてみませんか。
石畳の道沿いに並ぶ民家や商店は、一軒一軒自由な色のペンキで壁や窓枠が塗られている
ヘルシンキからバスで1時間ほど東に向かったところに、ポルヴォー(Porvoo)という河川に沿って開けた小さな街があります。ポルヴォーはフィンランドで2番目に古い街と言われ、旧市街の一角には今も往時の素敵な街並みが保存されています。川沿いには、ポルヴォーの風景のシンボルとも言える赤壁の倉庫が、ずらり。ここにさまざまな舶来品が一時貯蔵されていたそうで、リノベーションしてカフェやお店に使われるようになった今も、ポルヴォー川の対岸からの眺めは貿易街として栄えていた時代の名残を留めています。
子どもが絵に描いたようなゆがみもまた愛らしい木造家屋群
街が開拓されたのは、フィンランドがスウェーデンの統治下にあった14世紀半ばのこと。以後も、スウエーデンがロシアとの戦いに敗北した際に司教の滞在地をこの地に移したり、ロシアが国を制圧した際に議会をここで開いたりと、歴史的に幾度も重要な出来事の舞台となった場所でした。そうした歴史的経緯から、この街では今でもスウェーデン語を話す人の割合が多く、街のあちこちに見られるBorgå(ボルゴー)という文字は、スウェーデン語表記版のポルヴォー市の名前です。
そんなポルヴォーは現在、とりわけ「カワイイ」ものが大好きな女子たちにとってはたまらない街として人気。街並みも、お店のディスプレイや看板も、街なかのちょっとした落書き(に似せたペインティング)までもが、何もかもとにかくメルヘンチックで可愛いらしいのです。小さな街なので、少し情緒に浸るだけなら、半日ほど立ち寄って旧市街を気ままに散策するだけでも楽しめるはずですよ。
ポルヴォー観光の醍醐味は、旧市街のぶらぶら歩き
レストランやショップが集まりひときわ観光客でにぎわう旧市街の裾野。看板やディスプレイの可愛らしさに次々と引き寄せられてしまう
現在もその美しい街並みが保存されているポルヴォー旧市街は、ポルヴォー川沿いの丘の上に1400年代からそびえ立つ、ポルヴォー大聖堂を中心とした城下町の一角。ポルヴォーに来たら、まずはぜひ、地図を片手に、あるいは地図を持たずに行き当たりばったりで、この可愛らしい旧市街の街並みを自分の足で散策してみてください。
民家の窓辺の愛らしいディスプレイの数々に観光者の顔がほころぶ
石畳のゆるやかな坂道は、どこを上っていってもやがて大聖堂へと辿り着くようになっていて、その道脇にはびっしりと、個性豊かな低層の木造家屋が立ち並んでいます。どの家も自由な色のペンキで壁や窓に色付けしてあるので、街並みは素朴ながらカラフル。ふと民家の窓辺に目をやると、通りすがりの観光客をもてなしてくれているかのように、愛らしいオブジェやキャンドル、花瓶などが並んでいて心が和みます。
雑貨屋やアンティークショップの店頭では、絵葉書やガラクタ小物を無人販売している一角も
また近年のポルヴォーといえば、旧市街に残る木造家屋に増えてきた個性的な雑貨屋やカフェ、チョコレート工場などのスイーツショップ巡りが、観光スタイルの定番になっています。雑貨屋と一口に言っても、定番の観光土産を売るお店から、昔ながらのおもちゃ屋さん、アンティークショップまで、ジャンルや雰囲気はさまざま。地元や国内の作家たちのハンドクラフトを扱うお店も増えています。
旧市街からは川辺の赤壁倉庫にもアクセスできるようになっており、そのいくつかはカフェやアンティークショップとして生まれ変わっている
さまざまな雑貨屋やカフェ・レストランが集中しているのは、バスターミナルのある新市街サイドに近い、旧市街の裾野のあたり。どこのお店も、店先に下がる看板がユニークで愛らしく、つい魅惑の店内に引き込まれてしまいます。また、目抜き通りのヨキ通り(Jokikatu)からは、川辺の赤壁倉庫群の立ち並ぶ一角にも立ち入れるようになっています。いくつかの倉庫内では、リノベーションによってオープンしたレストラン・カフェやお店がひっそりと営業しているので、ぜひお気に入りの隠れ家を見つけるように探索してみてください。
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