晴天の霹靂は、誰の人生にもやってくる

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ある日突然訪れる不運は避けようがない

「ストレスに強い心とは?」と尋ねると、「何があっても動じない心」「めげない心」をイメージする方が多いと思います。しかし、想像もできないような理不尽な出来事に突然見舞われたとき、本当に動揺しないでいられるでしょうか? めげないでいられるでしょうか?

たとえば、大災害に遭遇してしまったら? 配偶者やわが子の死が突然やってきたら? 命をかけて取り組んできた事業が破綻したら? 全財産を失ってしまったら? こんなときには、どんな人でも、悲嘆に暮れ、慟哭し、やり場のない怒りに振り回されてしまうものです。

「心を強く持とう」と努力してきた人ほど、その努力が一切通用しない理不尽さにショックを受け、精気を失ってしまうかもしれません。「泣いてはいけない」「つらいときこそ笑え」と自分にプレッシャーをかけ、かえって極限まで苦しみを強くしてしまう人もいるでしょう。

心の復活力「レジリエンス」とは何か?

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細くてもしなやかであれば、風雪に強い

東日本大震災後、「レジリエンス」というキーワードが注目されるようになりました。「レジリエンス」とは「復活力」を意味する言葉です。理不尽な不運に見舞われたとき、どうしようもないほど、心がかき乱されるのが生身の人間ですが、心が柔軟であれば、再び立ち上がることができます。この復活する力が「レジリエンス」なのです。

レジリエンスをイメージするにふさわしいのが、「柳に雪折れなし」「柳に風折れなし」ということわざです。柳の枝は、細く華奢だが、よくしなうので雪の重みや強風で折れない。柔軟性があれば、苦難をかわして元の状態に戻ることができるということです。この逆の表現が、「堅い木は折れる」ということわざです。堅い木は丈夫そうに見えますが、しなやかさがないために折れやすい。転じて、剛毅に見える人ほど、実は挫折に弱いという意味です。

この2つのことわざのように、鋼のように強靭な心にこだわる人より、へこんでも置き上がれる柔軟な心の持ち主の方が、レジリエンスは強いと考えられます。

たとえば、ソチ・オリンピックで浅田真央さんが見せてくれた姿こそ、レジリエンスそのものだと評されています。1日目のショートプログラムで決定的なミスをしてしまった真央さんは、絶望的な表情から再起ができないのではないかと、日本中の人々が心配しました。ところが、翌日のフリースケーティングでは本来の自分を取り戻し、見事に復活。最高の実力を出して締めくくることができました。

このように、思わぬ不運によってどん底に沈んでも、そこから立ち上がり、もう一度歩き出すことのできるしなやかな強さを持っていること。これがレジリエンスなのです。

肯定的な未来を信じて再び歩き出す

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過去にこだわるより、未来を見つめる視点を持つ

レジリエンスを発揮するには、未来と自分をポジティブに捉える視点が欠かせません。

遭遇してしまった出来事、犯してしまったミスに囚われ、「どうしてこんなことになってしまったのか?」と原因追求ばかりしていては、前に進むことができません。過去にこだわるより、「これから何をするべきなのか?」と未来志向で考えていくことが、しなやかな再起につながります。また、「同じようなことが再び起こるかもしれない」とネガティブ思考のループにはまっても、そこから動き出すことはできません。「前を向いて歩くしかない。私にはきっとできる!」と未来と自分をポジティブに捉えていくことが、再起への原動力になるのです。

不運に落ち込む瞬間は、誰の人生にも訪れます。けれども、その先には未来があり、そして自分自身には不運から復活するレジリエンスがある――そのことを信じて、一歩歩き出してみませんか?
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