ガウディの集大成、サグラダファミリア

サグラダファミリア内陣の主祭壇

サグラダファミリア内陣の主祭壇、天蓋と宙を舞うイエス像。森林のような、それでいてどこか近未来的な不思議なデザイン。内部は地下礼拝堂を除いて世界遺産未登録だが、将来拡大される可能性はある

生誕のファサード

イエスの誕生物語を描いた生誕のファサード。もうひとつの世界遺産、地下礼拝堂は信者以外には公開されていない

ガウディがライフワークとしていたのが聖家族贖罪教会、すなわちサグラダファミリアだ。

建設がはじまったのは1882年で、ガウディは2代目の設計者として1883年に着任した。当時はまだ30をすぎたばかりだったが、あまりの規模から完成に300年はかかるといわれ、実際生前に完成することはなかった。ガウディは晩年、この建物に閉じこもって作業を進めたが、結局工事が完了したのは東の門にあたる生誕のファサードと地下礼拝堂のみ。この2か所だけが世界遺産に登録されている。

2014年までに、上に加えて西の門にあたる受難のファサード、北ファサード内部、祭壇を収めた内陣、参拝客が集まる身廊、身廊を支える側廊や翼廊といった部分がおおよそ完成した。南門にあたるメイン・ファサード(栄光のファサード)や18本のうち10本の塔が未完成だ。

 

受難のファサード

エルサレムでイエスが捕縛され、磔にかけられ、処刑されるまでを描いた受難のファサード

「なんだ、外観はまだ半分ちょっとしかできていないんだ」。こう思ってはいたのだが、地下鉄サグラダファミリア駅を降り、教会を見上げて驚愕した。その形、その規模、ともに並ぶものが見当たらない。

生誕のファサードはイエスの誕生前後の物語を描いている。アールヌーヴォーを思わせる柔らかい彫刻で覆われており、動物や植物がそれらを包みこんでいる。他方、最後の晩餐やユダの接吻、イエスの処刑などを描いた受難のファサードは直線でデフォルメされた現代彫刻で、趣がまったく違う。

教会内部がまた圧巻だ。白い柱が立ち並ぶ様はまるで白樺の森。森といえばゴシック建築だが、あれほど無骨でトゲトゲしておらず、現代建築を先取りしたミニマルなデザインが随所に見られる。これもたとえる言葉が見つからない。

 

ちなみにサグラダファミリアの完成予定は2026年。完成予想図の動画が以下。すごすぎる!

[関連サイト]

グエル伯爵とガウディの夢、グエル公園

グエル公園、ギリシア劇場上のテラス

グエル公園、ギリシア劇場上のテラス。粉砕タイルが美しい。その背後には排水溝があり、雨水は劇場を支える空洞の柱を通って地下貯水槽に排水される。有名なトカゲのオブジェの口はその貯水槽に通じている

グエル公園

テーマパークのように華やかなグエル公園。ガウディが住んでいた住宅は博物館として公開されている

そもそもガウディが世に出ることができたのは、彼の才能を認めた富豪エウセビオ・グエルの後ろ盾があったからだ。グエルは40年の間、ガウディを支援しつづけて、さまざまな建物の設計を依頼した。世界遺産構成資産7点のうち3点が「グエル」の名を冠するのも、彼が依頼主であるためだ。

もともとこの公園は60棟からなる新興住宅街をつなぐ庭園になる予定だった。ふたりは「自然と芸術」をコンセプトに港を見下ろすガーデン・シティを計画したが、立地の悪さや独特のデザインなどからまったく売れず、結局売れたのは3棟のみ。購入者はグエル、ガウディを除けばひとりしかいなかった。結局計画はとん挫して、市が公園として買い取った。

 

グエル公園の高架橋

グエル公園の高架橋。石の間から植物が芽を出し、花を咲かせている

自然と芸術。本来まったく対立するはずのふたつの概念だが、ガウディの才能は建物としての制約を受けないこの公園で花開いた。

たとえば石を組み合わせた柱や高架橋。とても自然で、たまたま石や岩が集まってこの形になったというイメージ。石のあちらこちらから植物が花を咲かせ、鳥たちが巣を作っている。実はこれ、公園を建造中に掘り出された石や岩を再利用して造られたもの。人と自然にやさしいこうした工夫がそこかしこに見受けられる。

有料となる公園の中心部分はさながらテーマパークだ。門番小屋・管理人室・博物館・トカゲのオブジェ・ギリシア広場などはメルヘンチックで、ディズニーの世界に迷い込んだかのよう。かわいらしいデザインだが、たとえば波のようにうねり連なるベンチは座り心地を考え抜いて作られているほか、裏を覗けば排水溝も完備している。

 

「自然と芸術」というコンセプトには、「人と環境にやさしく」という思いが込められている。