子犬のしつけを失敗させてしまう、飼い主の行動とは?

子犬のしつけが失敗するのは、飼い主が原因?

子犬のしつけが失敗するのは、飼い主が原因?


できるなら愛犬といい関係を築きたい。子犬を連れて来た時(成犬であっても)、誰もがそう思うことでしょう。しかし、残念ながら、しつけがうまくいかない、失敗してしまうこともあります。一生懸命やっているつもりでも、何がいけなかったのか?と悩んでしまうこともあるでしょう。そこで、この記事では、しつけの成否に影響すると思われる、普段何気なくやっている飼い主自身の“行為”について考えてみたいと思います。
   

子犬のしつけNG行為1.躾の時期を先延ばししていませんか?

子犬

トイレのしつけは子犬が来たその日から始まる。社会化の意味合いの強いしつけも早期から。ただし、家にやって来てから新しい環境に慣れるまで1~2週間はかかるので、その間はまず環境に慣れることを優先:(c)GYRO PHOTOGRAPHY/a.collectionRF/amanaimages


まだ幼い子犬に「何かを教える」と考えると、なんとなく可哀相な気がして、ついついしつけを始めるタイミングがずるずると遅くなってしまっているということもあるのではないでしょうか。

一口にしつけと言ってもその範囲は広く、トイレの場所を覚えさせるといった生理的なものから、性格形成やストレス耐性にも関わる犬としての素地を作り上げるための社会化的意味合いが強いもの、そして、「スワレ」「フセ」「マテ」など生活上必要な実践的なしつけまで含まれます。

この中で、トイレのしつけは子犬(成犬も同じ)が来たその日から始まります。

体のどこを触っても大丈夫なようにしたり、いろいろな物や人、音などに慣らしたりといった社会化的な意味のしつけも極力早期から始めたいところですが、子犬が新しい環境に慣れるまでには少なくとも1~2週間かかり、その間は体調を崩しやすくもあるので、無理はせず、まずは環境に慣らすことを優先したほうがいいでしょう。

子犬が環境に慣れた頃を見計らって、社会化的トレーニングを始めるのがいいかと思います。その後、徐々に「スワレ」や「マテ」なども教えていくことになるわけですが、子犬相手であると「ま、いいか」と教えるタイミングを逃し、気がついた頃にはすでにそこそこ成長していて、すでに困った癖がついていたということもあるのではないでしょうか。

たとえば、甘噛みに関しては、生後4ヶ月半頃までには抑制できているのが望ましいとされるので、それまでのんびりしていると噛みが?くなってしまう可能性もあります。子犬と遊んでいる時に強く噛んでくるようなら、「あっ!」とか「痛い!」など注意を引く声を出し、口を離したなら褒めてあげるということを繰り返して教えていくといいでしょう。

タイミングと言えばもう一つ。犬を褒める時に、「それがいいことなんだよ」と印象づけるためには、望ましい行動の1~2秒以内に褒めるのがベストです。そのタイミングがずれていることで、子犬にとってはその行動と褒められていること(いいこと)とが結びづきずらく、結果的になかなかその行動を覚えないということもあるかもしれません。

いずれにしても、タイミングのずれが、しつけがうまくいかない原因になっていることがあります。

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子犬のしつけNG行為2.事あるごとに愛犬を抱っこしていませんか?

だっこ?れている犬

抱っこはスキンシップにもなるが、抱き癖をつけてしまうと困ったことになることも…。また、犬は抱っこされる(抱きしめられる)ことがあまり好きじゃないという研究結果もあった。この写真の犬も鼻の頭をなめているが、もしかしたら抱っこされているのがストレスなのかも?(鼻の頭をなめるのはストレスサインの1つである場合もある):(c)DAJ/amanaimages


子犬は可愛らしく、つい抱っこしたくなるものです。頼りなげで、柔らかい小さな体を抱き上げた時、そこにはそこはかとない幸せを感じることでしょう。幼い分、守ってあげたくなります。しかし、子犬が寄ってきたからと抱き上げ、せがまれては抱っこし、散歩の時にも抱っこ。可愛いあまりに抱き癖をつけてしまったら……。

残念ですが、犬による咬傷事故はなくなってはいません。意外に目立つのが、飼い主に抱かれている犬を撫でようと手を出して咬まれてしまうケースです。犬にしてみれば飼い主という後ろ盾がいる分、気が大きくなることもあり、また、逆に知らない人が怖くてその場から逃げたいと思ってみても、抱かれているだけに逃げられるだけの余裕もなく、つい咬んでしまうということもあります。

誤解のないように言っておくと、何も抱っこをすることが悪いことだというのでは決してありません。むしろ、飼い主とのスキンシップ、体のどこを触っても大丈夫なように馴らすといった意味合いにおいても抱っこは有効です。ただ、あまりに抱き癖をつけてしまうと飼い主に対する依存度も増し、場合によってはわがまま犬となってしまうことがあるので注意が必要でしょう。

参考までに、中には、「犬を抱っこすると目線が高くなる分、相手に対して自分のほうが優位だと思ってしまうので抱っこはあまりしないほうがいい。少なくとも自分より犬の目線が高くなるように持ち上げたりしない」「寝転んでいる時に自分のお腹の上で子犬を遊ばせると目線も人間より高くなり、かつ、人間がお腹をさらけ出しているということは犬のルールからすると下位にある個体がすることなので犬に勘違いをさせてしまうためよろしくない」といったような意見もあります。

それについては、否定するつもりはありませんが、あまり神経質に考えすぎなくてもいいだろうとガイドは考えています。なぜなら、その理論でいけば絶対的に大型犬のほうが小型犬より優位になるはずですが、大型犬と小型犬とが同居しているご家庭では、逆に小型犬のほうがリーダーシップをとっているケースが多くあります。また、日本の住宅事情では布団に寝ることも多く、当然目線は犬とほぼ同じ高さになります。そうした生活を送っていてもちゃんと愛犬をコントロールできている飼い主さんもこれまた多くいます。

実際、ガイドの愛犬は毎朝ガイドのお腹の上に乗り、顔を舐めたり、前足でカリカリして起こしてくれました。明らかにガイドを見下ろしている状態です。しかし、「どいて」と言えばどきますし、散歩でもリードをぐいぐい引っ張るようなこともなく、わがままに振舞うようなコではありません。

要は、目線の位置云々ではなく、自分が愛犬を守り、周囲に迷惑をかけない程度のしつけを入れ、コントロールできるようにならなければいけないという「飼い主としての目線」をもっているかどうかということこそが大事なのだと考えます。

ただし、確かに目線が高いということは圧迫感も与えますし、優位性を感じることもありますので、幼い子供が一緒の時などは配慮したほうがいいかもしれません。

 

子犬のしつけNG行為3.叱る時に、つい愛犬の名前を呼んでいませんか?

叱られている犬

飼い主に自分の名前を呼ばれるということは、犬にとって気持ちのいいこと、楽しいこと、嬉しいことでありたい:(c)PRESS AND ARTS/a.collectionRF/amanaimages


「健太! こらっ! 何やってるの!」
つい言いがちですよね。近年では褒めてしつけるトレーニング方法が主流となってきていますが、それでもやはり、愛犬がどうしてもして欲しくないことをした時には叱る必要が出てくることもあります。

叱られるのは犬だっていい気分はしません。ましてやその時に自分の名前を呼ばれていたのでは、名前が負のイメージにつながり、以降、名前を呼ばれる度にびくびくと萎縮したり、性格によっては反抗的になってしまうことも。こうなるとしつけもスムーズにいかなくなってしまいます。

愛犬の名前を呼ぶ時には、いいことと結びつけてあげたいものです。

 

子犬のしつけNG行為4.散歩で好き勝手に歩かせていませんか?

散歩をする犬

一緒に生活をする上でのルールを犬に教えることは、飼い主の役目:(c)Doable/a.collectionRF/amanaimages


少し前に、あるペットホテルで預かっていた犬たちを散歩させてもらったことがあるのですが、驚いたことが一つありました。

それは、まともに歩ける犬が1頭もいなかったということ。いえ、犬という動物としてはちゃんと歩けます。問題なのは、ぐいぐい引っ張るのはもちろん、右に行ったり左に行ったり、足にまとわりついたかと思えば、急に後ろへ引き返す。歩き方が勝手気まま過ぎて、一緒に歩いているガイドは何度転びそうになったことか。ペットホテルに戻った頃には、すでに息があがっていました。

こういう歩き方を許しているようでは、犬自身も危ないですし、飼い主のほうも疲れてたまりません。また、街中であれば周囲の人たちの歩行を邪魔してしまうこともあるでしょう。何より、その犬にとっては、飼い主はリードでつながっているのみで、眼中にない状態と言ってもいいかもしれませんね。

終始、飼い主の左側について歩かせるべきとは言いません。ある程度気ままに歩かせられる状況であるなら、それでもいいのです。ただ、肝心な時には、「ツイテ」「アトヘ」などコマンドを出せば、ちゃんと飼い主の横を落ち着いて歩けること、「マテ」と言ったならその場で止まれること。それは大事なことではないでしょうか。なぜなら、犬の安全を守ることになるからです。

加えて言うなら、日本の道路事情を考えれば、必ずしも飼い主の左側を歩かせる必要はありません。それでは犬が道路側に出ることになり、かえって危険です。状況によっては左でも右でも歩けるようにしておいてあげるのがいいでしょう。

少しでも落ち着いて、安全に歩けるよう、お散歩デビューをした後には、歩き方の練習もすることをお勧めします。散歩中に、時々お気に入りのオモチャで愛犬の気を引きながら歩く、それだけでアイコンタクトの練習にもなりますよ。

 

子犬のしつけNG行為5.「嫌がるからいいや」と許していませんか?

ブラッシング中の犬

犬に無理強いをするのは禁物だが、嫌がるからと甘やかしていれば困った癖がついてしまうことも。苦手なことは楽しいことと結びつけて、少しずつ慣らしていく努力を:(c)DAJ/amanaimages


犬が嫌がるからブラッシングや爪切りができないという飼い主さんは意外に多くいます。

嫌がるのは、体のどこかに痛みがある、以前爪切りをした時に痛い思いをした、ブラシのかけ方が荒くて痛い、などの理由があるのかもしれません。そのような理由があり、本気で嫌がるものを無理にやれとは決して言いません。

しかし、そうした理由がない場合、「嫌がるから可哀相、諦めた」では、そこで終わりです。吠えてうるさいのでケージから出してあげた、というのも同じこと。吠えるとケージから出してもらえると覚えた犬は、以降、ケージから出たくなれば吠え続けることでしょう。結局はそれを許し、何回も繰り返すことで、問題の行動は益々強化されてしまいます。

特に、子犬はその可愛さから、ついつい許してしまいがちですが、その裏には落とし穴もあるというわけです。

たとえば、ブラッシングであるなら、まずはブラシをその辺に置いておき、梳かすことはまだせずに、ブラシそのものの存在に馴らすことから始めます。次に、体の一部分にブラシの背のほうをあててみる⇒少しでもやらせたならご褒美を与える⇒次はブラシのピンのほうをあててみる⇒徐々に梳かす範囲を広げていく⇒嫌がる素振りがあったら、一つ前の段階に戻る⇒時間をおいて再度次のステップへ進む、というふうに段階を踏みながらトライしていくのがいいでしょう。

もちろん、病気やケガ、皮膚の異常などによって痛みがあるためにブラッシングを嫌がるのであれば、その治療が先決ですし、ブラシのあて方が荒い、またはブラシが合わなくて痛い思いをさせているのであれば自分のやり方やブラシそのものを変えてみる必要があります。

ブラッシングや爪切りに限らず、犬が何かを嫌がる場合には、なぜ嫌なのか?を推察し、改善できるものは改善できるように努力することは大切です。

 

子犬のしつけNG行為6.自分の気分で愛犬に接していませんか?

オテをする犬

気分次第で飼い主の態度が変わる、散歩にも行ったり行かなかったりというようでは、犬も困惑してしまう:(c)Doable/a.collectionRF/amanaimages


以前、ブダペストにあるThe Central European Universityの認知科学者らによる興味深い実験が行われました。それは、犬にある動画を見せた後の犬の視線に注目したもの。

動画は2パターンあり、中央に1人の人物がいて、その左右には1つずつプラスチックポットが置かれています。1つ目の動画では人物が犬のほうを見ながら明るい声で「Hi, dog!」と語りかけ、その後、左右どちらかのプラスチックポットを見ます。もう1つの動画では犬のほうを見ることをせずに、トーンの落ちた声で語りかけ、同じように左右どちらかのプラスチックポットを見ます。この2つの動画を見た後、犬の視線はどう動いたのか?

実験には22頭の様々な犬種の犬たちが使われました。結果、明るい声で話しかけた動画では69%の割合で犬も同じプラスチックポットを見たそうです。トーンの落ちた声で話しかけたほうの動画では、それほどに反応はしませんでした。

人間の幼児にも同じような実験が行われたことがあったそうですが、この結果から、犬は少なくとも生後半年の子供と同程度の反応を示すことができ、人間が出す声のトーンや体の動きなどといったサインを受け入れ、それをある程度判断できるだけの能力があることがわかります。

犬は学ぶ動物です。そして、人間ほどではないにしろ、考え、それによって判断し、行動することができる動物です。気分によって暗い気持ちで接し、暗い声でしつけをしていたら犬はどう反応するでしょうか? 気分にムラがあり、暗い態度で接していれば、犬が学ぶ折角のチャンスも潰していることになります。何より、飼い主の態度が気分によってころころ変わるのであれば、当の犬は困惑してしまうことでしょう。

それよりも、明るく、楽しい態度で犬に接したほうがしつけもよりスムーズにいくはずです。あなたの愛犬の視線は、いつでもあなたに注がれているのですから、できるだけ楽しく、明るい気持ちで犬と接したいものですね。


以上6つのポイントは、すべて飼い主と犬とのコミュニケーション、関係性に関連づけられます。それを考えた時、「犬との主従関係」「犬を服従させる」といった考えもありますが、ガイドにとっては違和感のある言葉です。なぜなら、ガイドにとって、犬は「抱っこする相手」ではなく、「自分の横にいつもいてくれる人生のパートナー」なのです。

ですから、いうことを聞かせるのではなく、人間の社会でともに暮らしていく中で、「悪いけど、これ、覚えておいてくれる? 君を守るためでもあるからさ」、そのくらいの態度で臨みたいと常々考えています。


参考資料:
AAAS/In the Eyes of a Dog

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。