「気持ち」を話す妻 vs 「事実」を伝える夫
話せば話すほど噛み合わない夫婦の会話……その先に待っているものは?
ある日のわが家の会話。テレビのバラエティ番組を観ていた私は、芸人たちのトークに大笑い。そのとき、リビングにやってきた夫に「さっき、芸人の○○さんがこう言ってて、笑っちゃったよ!」と語りかけました。すると「え? 見てなかったからよく分からないんだけど」と答える夫。さらに「だからさ、○○さんが○○して……」と説明すると、「ごめん。俺、バラエティに興味ないんだわ」とボソリ。……私はチッと舌打ちをして、プンプン。
気がつけば、夫と私の会話はいつもこんなパターンです。私は会話が終わるたびに、「ああ、つまんないこと言うんじゃなかった!」と1人でイライラし、夫はそんな私を「なんで怒ってるんだ?」と不思議そうな目で眺めています。すれ違いぎみな生活を改善させようと、せっかく話のネタを振ったのに、会話は一向に盛り上がらない。この夫婦の噛み合わなさは、いったいどうすればいいのでしょう!?
「レポートトーク」と「ラポールトーク」の違い
お互いの話にイラついているだけでは、不快感はなくならない
男性に多く見られるのが、レポートトーク。男性は、職業人生活の中でこの話法を鍛えられます。職場での情報伝達は、感情や主観に流されず根拠を示すことを求められるため、こうした話し方に慣れると、プライベートの中でも知らず知らずのうちにそれが出てしまいます。
一方の女性に多いのが、ラポールトーク。地域や家庭、子どもなど、身近な人と「気持ち」でつながって生活する機会の多い女性は、日頃からこの話法になじんでいます。気持ちを伝え合い共感し合えば、相手との間に信頼を感じ、安心することができるのです。
お気づきの通り、私と夫との会話のすれ違いも、レポートトークとラポールトークの違いによるものだったのです。私が夫に伝えたかったのは、見ていたテレビの内容ではありません。「おかしくて、思わず笑っちゃったんだよね」という感情の投げかけと、「あなたも同じような気持ちになることあるでしょ?」という共感の確認。ところが夫は、「自分はそれを見ていないし、興味がないので、答えようがない」というありのままの事実を返してきました。気持ちを受け止め、共感してもらいたかった私は、的外れな応答をしてきた夫にがっかりしてしまった、ということだったのです。
夫婦の幸せは「トーク」の歩み寄りから
話し方、聞き方を変えるだけで夫婦関係はぐんと良くなる
「今日、どこに行ってね。誰に会ってね」と着地点の分からない会話を続ける妻にイラつく夫は、「で、その話の結論は何?」と話の腰を折ってしまうのが常。妻にとっては「結論」などどうでもよく、ただラポールトークを楽しみたいだけなのです。こんなとき、「そうだったのか。よかったなぁ」「会えたの久しぶりだったろう」などと同じ話法で返してあげれば、妻は「そうなのよ。話してよかった」と満足し、気持ちを受け止めてくれた夫に愛を感じるわけです。
一方の夫に対しては、事実や根拠を示し、選択肢や対策を提示して伝えてあげるのが、妻の親切というもの。「今日、ドアが壊れて困っちゃったのよぉ」といきなりラポールトークから始めるのではなく、「ドアが壊れたから、業者に電話したの。週末にカタログが届くから、一緒に選んでくれない?」と、レポートトークで語りかければ、夫も「そうか、うん。そうしよう」と快く会話に応じてくれるはず。思わぬ事故にも粛々と対応し、分かりやすい提案をする妻に、「できる奥さんを持って幸せだなぁ」と感じるものです。
2つのトークを身につければ、活躍の場は倍増!
2つのトークを使える人になれば、活躍の場も広がる
この2つの話法を使いこなすことができれば、社会の中でも必ず活躍の場を広げることができます。ラポールトークを使える夫は、部下や女性職員に信頼され、慕われるようになりますし、チームワークのよい職場を作れるようになるでしょう。レポートトークを使い始めた妻は、物事を論理的に考え、問題を合理的に処理する力を鍛えることができますし、その思考力、対応力は、仕事をする際にも必ず役立ちます。
夫婦は、日常会話を通じて異文化を学べる絶好のパートナー! お互いのトークの特徴を学んで円満な夫婦関係を再構築し、自分自身の能力の幅も広げていきましょう。