マネジメント/マネジメント事例

サッカー日本代表、早過ぎる敗退に学ぶマネジメント論

サッカーのワールドカップ・ブラジル大会は、0勝2敗1分で日本代表チームのグループリーグ敗退が決まりました。大会前の下馬評では決勝トーナメント進出は確実と言われながら、結果はグループ最下位という惨敗。その原因はどこにあったのか。競技としての専門的な観点は抜きに、組織として大会に臨むマネジメント戦略的な観点から分析してみます。

大関 暁夫

大関 暁夫

組織マネジメント ガイド

東北大学卒。横浜銀行入行後、支店長として数多くの企業の組織活動のアドバイザリーを務めるとともに、本部勤務時代には経営企画部門、マーケティング部門を歴任し自社の組織運営にも腕をふるった。独立後は、企業コンサルタントの傍ら上場企業役員として企業運営に携わる。

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カギ握る大会直前の国際試合

今ワールドカップ開催前の国内は、早くから前大会以上を期待する国民の熱気に溢れていました。世界の一流クラブでプレーする選手が飛躍的に増えたこと、予選を楽に勝ち上がり世界最速で大会出場を決めたことなどが国民の期待感を大きくしたのでしょう。しかし、ふたを開けてみれば1勝もできないまま、グループリーグ最下位での敗退となりました。

一方、決勝トーナメントに進出し、あわやベスト8かとの歓喜に沸いた4年前の南アフリカ大会。日本代表チームの前評判、実績は今大会とは対照的でした。前評判は最悪で大会直前にはメディアがこぞって当時の岡田武史監督の更迭を喧伝するような騒ぎの中、けっして高くなかった国民の期待を見事に裏切り、並み居る強豪を蹴散らしての大躍進でありました。

解説

日本代表チーム、前大会と大きく違うのは大会直前の国際試合

今大会のふがいない結果と、前大会の予想外の大躍進、競争戦略マネジメント的観点から考えてみるとその理由としてひとつの仮説が浮かび上がってきました。

着目したのは、本大会直前1か月における国際親善試合等の対戦結果です。前回と今回の大会前3試合は以下の通りです。(カッコ内は各国のその時点でのFIFAランキング)

W杯南ア大会 岡田ジャパン(45)直前3試合対戦相手と成績
10・5・24 0-2負 韓国(47)
10・5・30 1-2負 イングランド(8)
10・6・4 0-2負 コートジボワール(27)

W杯ブラジル大会 ザックジャパン(46)直前3試合対戦相手と成績
14・05・27 1-0勝 キプロス(143)
14・06・02 3-1勝 コスタリカ(28)
14・06・06 4-3勝 ザンビア(76)

結果だけを見ると、前大会前は3連敗(その前も負けていたので実際には4連敗。岡田監督の更迭が取り沙汰されたのはそんな理由によるものでした)、今大会前は逆に3連勝しています。しかし、注目すべきはその対戦相手です。前大会における対戦相手は自国よりもランキング上位の競合国相手(韓国は強豪とは言えないかもしれませんが、通算対戦成績でダブルスコア以上の圧敗)との試合であったのに対し、今回の3試合はコスタリカがややランキング上位であるものの、ザンビア、キプロスは今大会に出場すらしていないハッキリ言って格下チームだったのです。

では、このワールドカップの話を踏まえ、ある企業を例に、そのマネジメントについてみてみましょう。

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