19歳、NDTでプロデビュー
NDT2日本ツアー
(右から二人目)
「ベジャールの学校は締め付けられてる感じがあって、何だか苦しくて……。またそのとき、初めて彼氏ができたんです(笑)」
お相手は一学年上のイギリス人。井関さんが二年目に進級すると一学年上の彼は学校を去り、離ればなれになってしまうーー。しかし、ここで諦めないのが彼女のスゴさ。ドイツのダンス・カンパニーへ入団が決まっていた彼の後を追うべく、在学中にドイツまで出向きオーディションに挑戦する。翌シーズンからの入団契約を取り付けると、ルードラ・ベジャール・ローザンヌをあっさり退学。
「入団まで半年あったので、その間は幸せに生きようって考えてました。でも、ネザーランド・ダンス・シアター(NDT)のオーディションがあるというのを聞いて、ちょっと挑戦してみようかなと思ってーー」
その頃、金森穣と初めて言葉を交わしている。橋渡し役は、彼女の一年後にルードラ・ベジャール・ローザンヌへ入学してきた那須野圭右。
「“NDTにいた穣ってひとを知ってるから彼に聞いてみなよ!”って言われて。電話をして“オーディションを受けたいんですけどどうしたらいいですか?”と聞いたんです。穣さんは“え、受ければいいんじゃない?”と。そのときの印象は、怖っ! て感じ(笑)。“あ、ありがとうございました!”って、すぐ那須野さんに電話を代わっちゃいました(笑)」
NDT2(右から4人目)
「ベジャールの学校を辞める理由としては恋を取ったはずなんですけど、NDTに受かったら何故か恋ではなくダンスを取ったんです(笑)」
当時19歳。プロの舞踊家としてカンパニーに所属するのは初めてのこと。給与体系からはじまり、全てが契約で決められているのにまず驚かされた。
「例えば、公演が終わって帰りが夜の12時を過ぎてたらタクシー代が出るので、その場合はレシートをもらってオフィスで精算すること、とか。NDT1のメンバーが集まって労働組合の話をしていたりと、会社としてきちんと成り立っていて、踊り以外の部分でもすごく学ぶことが多かったです」
NDT2 Photo:Joris Jan Bos