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黒田育世ワークショップ公演『SHOKU』インタビュー!(5ページ目)

BATIK率いる黒田育世さんが手がけるワークショップ公演『SHOKU』。一般公募の受講者に自身のレパートリーを振付け、成果発表を行うという意欲的な試みです。黒田作品は過酷なことでも知られ、ワークショップ生には大きな挑戦となるところ。ここでは、主宰の黒田さんにインタビュー!企画のきっかけとその想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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公演はBATIKが初日、ワークショップ生が二日目・三日目に舞台に立ちます。プロのメンバーとワークショップ生が別日に舞台に立つというのも、
珍しい試みですね。

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(C) TOKIKO FURUTA

黒田>まず“カンパニーの作品を再演したいけど今の日本ではワークショップにするしかないんだ”というところからスタートした企画なので、できれば純粋に再演をしたいという動機が最初にありました。

ふたつめの理由は、非常に危険度の高い作品なので、初日にBATIKで毒味をして、“この照明のときはこういう風に危ないぞ”ということをワークショップ生に事前にお伝えすればより安全だということ。

もうひとつの理由は、彼女たちが彼女たちの『SHOKU』を立ち上げた方がいいだろうという考えから。メンバーと一緒に踊ると、どうしても先生についていく形になってしまって、自分たちでつくりあげるものにはならない。ひとに連れていってもらうのではなく、彼女たち自身で立ち上げるようにした方が、むしろ危険性も少ないと思ったんです。

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(C) TOKIKO FURUTA

厳しい振付と厳しい照明、厳しい音響の中で、何が信頼できるかといったら、共演者の関係になる。それを本当に密な形で実現するには、先生が混じってというよりは、一緒につくり上げたひとたちだけでやった方が、彼女たちにとっても意義があると思うんです。今となっては、一番初めの“カンパニーとして再演をしたい”という動機より、後半のふたつの方が大きくなってますね。

“再演をしたい”とずっと言っていて、でもなかなか叶わなかった。それがソロレパートリーをやって、“あれ、コレいいね!”となって、ワークショップ公演で『ラストパイ』をやって、“すごくいいね!”となった。再演をしたくてもできないという現実が、逆手に取れたなという気がしています。

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ワークショップの模様 (C) TOKIKO FURUTA



BATIKのメンバーにはないもの、ワークショップ生だからこそ
見えてくるものとは?

黒田>彼女たち自身わざわざ受講料を払い、これだけの時間を割いてやると決めてる。だから、自分がどう評価されるかとか、他のことは関係ないんですよね。“コレを踊るんだ!”と思い、毎日稽古に通って、できるようになるかどうかもわからないものをやってみようと決めた。その強さは、やっぱり彼女たちにしかないものだと思います。

もちろんBATIKのダンサーもその芯の部分は持ってるけれど、メンバーはメンバーなりの責任を背負っているし、どうしても立場が違う。もちろんワークショップ生にも責任はありますけど、ただ踊りたいから踊る、何も求めない、という強さがあると思います。

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ワークショップの模様 (C) TOKIKO FURUTA



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