企業のIT活用

逆転の発想、業務改善をシステムから考える

システム化は、業務の非効率的な部分や、改善すべき課題があるときに検討されるのが普通です。しかし、今回はあえて逆の視点から、すなわち手段であるシステムの側から、業務改善について考えたいと思います。例えば、日常業務の中でシステム化すべきポイントを探ったり、新しいサービスや機器の活用方法を考えることで、実際にシステムを導入・改修しなくても、業務改善のヒントが見えてくるはずです。ぜひ、試してみてください。

長谷川 渉

執筆者:長谷川 渉

企業のIT活用ガイド

システム化の視点を業務改善に活かそう

システムの改修や導入は、業務の中に非効率的な部分や改善すべき問題があるとき、課題を解決する手段の一つとして検討されるのが普通です。

例えば、Excelで管理していた顧客情報が増えたため、顧客フォローやマーケティングに必要なデータを抽出・加工する作業が煩雑になり、経営戦略を実践するスピードが落ちている場合。

通常は課題を解決する手段の一つとしてシステム化を検討するが…

通常は課題を解決する手段の一つとしてシステム化を検討するが…

この問題を解決する手段としては、顧客情報の入力や管理、活用が効率化できる顧客管理システムの導入を検討する(本当に課題の解決につながるかを検証し、採算が合えば採用する)というステップを踏むのが一般的でしょう。

しかし、今回はあえてそれを逆の側面から、すなわち手段である「システム化」の視点から、業務改善を考えるアプローチについて考えてみたいと思います。逆転の発想で、思わぬ効果が得られるかもしれません。

まず、システム化すべき業務を探す

「時間」は営利企業において貴重なリソースですが、なかなか管理できていないのが実情ではないでしょうか。日々の業務に慣れてしまうと、費やす時間が増える一方の面倒な作業であっても、「これが当たり前」という感覚になりがちです。特に繰り返し行っているデータの入力や計算といった単純業務は、時間をかければできてしまうため、改善の必要性を実感しにくいもの。

これをシステム化の視点で考えると、まず、どこにどれだけの時間が費やされているのかを計測・算出するステップからスタートします。システムの改修や導入は、現状の業務を明確に把握するところから始まるからです。

有効な業務フローが確定してはじめてシステム化が可能に

有効な業務フローが確定してはじめてシステム化が可能に

すると、いつの間にか業務効率が悪化していたり、利益を生み出さない作業に膨大な時間が割かれているといったことに気づくことができます。また、現状の業務を把握する手段として、業務フローを書き出すことも有効です。他部署との連携が必要な業務の場合は特に、業務フローが定まっていないうちにシステム化することはできないからです。

業務フローに問題を抱えたままシステム化しても、高速で問題が起きてくるだけです。単に業務フローを書き出すだけでなく、どこに潜在的な不満や課題があるのか、という視点を持つように心がけましょう。

ボトルネックになっている部分を明確化するために、実務に携わっている関係者へヒアリングすることも大切です。例えば、営業担当から依頼書が提出されないと、制作チームのほうで作業に着手できないといったケースでは、待ち時間という時間的なロスによって常に制作スケジュールが圧迫され、制作側が慢性的にストレスを感じてしまいがちです。

ここで、紙ベースだった営業担当からの依頼書を、Webから入力・依頼できるシステムを導入することによって、営業側の手間も軽減され、スケジュールにも余裕ができるという着地点が見えてくるかもしれません。このように、普段の業務の中でシステム化すべきポイントを探すという発想は、効率化や業務フロー改善のきっかけとなるのです。
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