定年・退職のお金/シングルの老後に必要なお金の知識

おひとりさま老後は働けるだけ働いて収入を得よう!

長い老後を過ごすことになる我々は、収入を得られる複数の手段を講じておきたいもの。イザとなったら頼りになる(かもしれない)子どもはいない、「おひとりさま」はなおさらです。そこで、老後にはどんな収入源があるか、そして、どんな働き方があるかを考えてみました。

執筆者:小川 千尋

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おひとりさま老後の収入は3パターン

長い老後生活を支える収入について考えてみよう

長い老後生活を支える収入について考えてみよう


最初に、おひとりさま老後の収入源にはどんなものがあるか整理しておきましょう。大きく分けて次の3つがあると思います。
 

公的年金

老後の生活費のベースは、何と言っても公的年金です。ご承知の通り、公的年金の支給開始年齢は生年月日でまちまちですが、最終的には65歳からです(もっと遅くする年金制度改革も検討されていますが)。支給額は、加入している公的年金の種類と加入年数で異なります。
 
※国民年金(老齢基礎年金)は令和2年4月分からの満額(40年間納付)の支給額 ※厚生年金(老齢厚生年金)は厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」による平成30年度の平均年金月額

※国民年金(老齢基礎年金)は令和2年4月分からの満額(40年間納付)の支給額 ※厚生年金(老齢厚生年金)は厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」による平成30年度の平均年金月額



公的年金は一生涯にわたってもらえる「終身年金」という点では安心です。でも、少子超高齢社会の現状では、支給額は減っていくでしょうから、将来的には現水準の2~3割減は想定しておくべきです。

特に、自営・自由業の人は、現水準でも月約6万5000円と少額です。ただ、会社勤めと違って定年はないので、健康な限りは働き続けて収入が途絶えないようにしたいもの。公的年金額を増やすために、付加年金制度を利用するのもおすすめです。
 

不労所得

微々たるものですが預貯金や債券などの利息収入、運用商品(株・投資信託など)の配当収入・売却収入、不動産の賃貸収入など、身体を使って働かなくても定期・不定期に入るお金です。

このお金を得るには、老後になってから準備するのでは間に合いません(不動産の現金買い、退職金・貯蓄で購入する投資信託はその限りではありませんが)。若いうちから運用商品の売買や積み立てをしたり、自分の住まい以外の不動産を購入しておく必要があります。

例えば、500万円を年2%で運用しながら20年間取り崩すとなると、月2万5000円になります。これぐらいの金額が年金収入に上乗せされると、少し心強いはず。若いうちからコツコツと積み立てて、「自分年金」の原資を作るのは賢い手段と言えます。
 

就労収入

その名のとおり、働いて得る収入です。「公的年金と貯蓄で老後資金は万全」、あるいは「公的年金と貯蓄、不労所得で万全。就労収入はなくても大丈夫」という人がいるかもしれません。就労収入が必要な人も不要な人も、働けるだけ働くことを推奨します。働くことには、たくさんの効用があると考えられるからです。働き続けることにどんな効用があるか、思いつく限りあげてみました。
 
  • 公的年金の不足分を補える
  • 公的年金の将来的な減額に対応できる
  • 貯蓄の取り崩しを遅らせることができる
  • 趣味や余暇を楽しむ余裕資金が得られる

お金関連の効用以外に、「気持ちに余裕ができる」「生活にメリハリがつく」「心身の衰えを防げる」「人間関係(コミュニティ)が維持できれば、孤立しないですむ」など、心と身体にもいい効果が得られます。

一般的に、会社員は60歳を過ぎると月給は下がります。しかし、60歳時点の月給の75%未満になるなどの条件を満たすと、60~65歳まで雇用保険から「高年齢雇用継続給付」がもらえるようになり、下がった分の一部が補てんされます。
 

自分のペースに合った働き方を模索して

どんな働き方をすればいいかは、現役時代の働き方にもよります。会社員の人は定年退職後の再雇用、その後の嘱託勤務など、会社が雇ってくれる間は働き続けましょう。在職老齢年金を意識して、収入を抑える働き方でもいいですし、年金は減っても目いっぱい働くのもよしです。在職老齢年金に対する考え方は人それぞれなので。自営・自由業の人は、高齢になっても働ける職種なら継続を。

ただし、会社員、自営・自由業を続けるにしても、体力に見合った働き方をしてください。健康を損ねたら、元も子もありません。もちろん、会社員は続けたくない、今の自営・自由業に飽きたなどの場合は、ムリに続けなくてもかまいません。

会社が雇ってくれないなどの理由で働く場所がなくなったら、自分でその場を作る手もあります。つまり、起業です。国はシニアの起業を推奨していて、日本政策金融公庫の融資「女性、若者/シニア起業家支援資金」という資金面のサポートもあります。会社を起業して人を雇えば雇用対策になりますし、社員たちが働いてくれれば、働かなくても社長報酬で悠々自適な生活ができるかもしれません。

起業なんて大げさなことはちょっと……という人は、一人でできる仕事の形態を探ってみても。例えば、モノ作りを趣味としているなら、作ったモノをネットショップやリアルショップで売ってもいいですし、これまでの人生で培ってきた得意なことを教えるのもアリです。今は、ネットを使えば副業もいろいろなことができます。収入は低いけれど、健康のためにチラシ配布をするというのもいいでしょう。

おひとりさまが老後に働き続ける際、現役並みの収入を得なくてもいいのはメリットです。誰かを養っているわけではないし、ある程度の貯蓄はあるはず。公的年金もあるので、月数万円の収入でも、あるとないでは、気分的にもおサイフ的にもだいぶ違うはずです。

マイペースで社会貢献にもなるような、あなたなりの働き方を模索してください。

※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆

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