50代から始める、生前整理ならぬ「老前整理」

50歳を過ぎたら万一の場合に備えたい。

50歳を過ぎたら万一の場合に備えたい。

身体の変調を感じながらも、日々、つつがなく暮らしているうちは老いじたくを意識することはないでしょう。まだ、50代では、特にです。しかし、筆者は50代に入ったら、老いじたくが必要なことを痛感する出来事を経験しました。

53歳のとき、虫垂炎をこじらせて腹膜炎を起こし、1カ月近く入院したのです。高血圧でも糖尿でもメタボでもありませんでしたが、何をきっかけに命を落とす事態になるかわからないことを痛感しました。そこで、自分が死んでしまったら、葬儀関係や財産の処分などのエンディングについての意思を書き残しておく必要があるなと考え、退院後すぐに遺言書とエンディングメモを書きました。

遺言書とエンディングノートの簡易版を用意

遺言書には、財産(というほどのモノを持っているわけではありませんが)の処分について書きました。筆者の場合、配偶者も子どももいないので、財産を受け取って欲しい人に残すには遺言書が必要です。子どものいない夫婦で財産は配偶者に相続して欲しい場合も遺言書を書いておいたほうがいいです。夫婦に子どもがいて、円滑に相続が行われるのなら、遺言書はなくてもかまいません。

エンディングメモは、今、注目されているエンディングノートのメモ版です。エンディングノートは、いろいろ出版されていますが、筆者にしっくりくるものはなかったので、必要事項をワードで書いてプリントアウトしました。エンディングノートではないので、エンディングメモと称しています。

預貯金などの資産のありかを一覧で「見える化」しておく

メモには、自分のお葬式・お墓・供養をどうして欲しいか、金融機関の通帳・印鑑・キャッシュカード&クレジットカード・不動産の権利証・生命&損害保険証券など、財産に関係するモノの保管場所と注意事項を書いてあります。

家計簿に金融機関と商品リストを書き込んでおく。

家計簿に金融機関と商品リストを書き込んでおく。(クリックで拡大)

筆者の財産は不動産と金融商品(貯蓄性保険、安全性商品、投資性商品)で、不動産は権利証の保管場所をメモに書いてあればコトは足ります。金融商品は、取引先が増えたり減ったりする可能性があり、そのつど、メモを書き直すのは面倒なので、市販の家計簿を改良して一目で誰にでもわかるように一覧化してあります(記入例は画像を参照)。

取引先の金融機関と商品は黒い線で囲んである部分に3種類に分けて書いてあります。貯蓄性保険は生命保険会社名と保険金額、投資性商品は証券会社名と商品名、安全性商品も銀行名と商品名を羅列してあります。

老後資金の管理にもエンディングメモは役立つ

この一覧は、筆者の死後、金融機関に問い合わせて手続きしてもらうためのものなので、金融機関と商品名だけでいいのですが、あえて毎月末の残高も記入しています(投資性商品は購入時の価格)。

それは毎月末、どれくらいの財産があるかを、ざっくり「見える化」することで、老後資金に黄色または赤信号が灯るのをいち早く察知するためです。毎月頭に、先月末分の記入をするので、取引金融機関が増えても減っても、最新情報が反映されることになります。

遺言書とエンディングメモを同封した封筒を家計簿にはさんでおく。

遺言書とエンディングメモを同封した封筒を家計簿にはさんでおく。

そして、遺言書とエンディングメモを同封した封筒を家計簿にはさんであります。筆者が死亡した場合は、家計簿を見てもらえば、すべてがひも解けるしくみにしてあるのです。

筆者は、たまたま家計簿を使いましたが、みなさんはみなさんなりのツールを見つけ、しくみも考えてください。エンディングノートに記入してもいいですし、エクセルやワードのデータで作っておいてもいいでしょう。データで残す場合、パソコンの故障や不具合に備えて、データをパソコン以外のところに保管しておくことをおすすめします。

数年おきに見直して、必要があれば書き直す

遺言書とエンディングメモを書いたら、それで老いじたくは終わりではありません。

自分が死んだ後、自分の意思に沿った葬儀などと遺産分割をしてもらうには、遺言書とエンディングメモの存在を2~3人に伝えておかなくてはいけません。死後の片付けが終わってから発見されたのでは意味がありませんし、1人にしか伝えていなくてその人に握りつぶされたら困りますからね。

配偶者がいる人は配偶者と自分の兄弟姉妹など、信頼できる人を選んで伝えておきましょう。筆者は、姉と甥、親友の3人に、「私に何かあったら家計簿を見て。家計簿はどこそこに入れてあるから」と伝えてあります。

遺言書とエンディングメモは、定期的に見直し、必要があれば書き直すことも大切。最新の意思を反映してもらいたいからです。毎年、書き直すのは面倒ですから、数年おき、または相続人を変えたい、相続人が亡くなってしまったなどの節目で見直して書き直しましょう。筆者は、これまで3回、書き直していますが、いずれも大病で入・退院した後でした。

老いじたくは「老いる者の心得」

老いじたくは、遺言書とエンディングメモを書くことにプラスして、身の周りのモノの整理・処分も含まれます。死んだ人のモノは、金目のモノ以外はほとんどゴミになるからです。

こうした老いじたくを50代で、と提案するのは、早い死に備えるためだけではありません。後期高齢者と呼ばれる75歳以上になると、体力・気力・判断力・集中力などが低下し、老いじたくができなくなる可能性があるからです。

50代で始めておけば、遺言書とエンディングメモは書き直すだけ、モノは買い込んだりため込んだりしなくなるでしょうから、いつ死んでも家族の手間を省けます。それが「老いる者の心得」であり、遺される人への思いやりだと思います。

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