ハムサンドとカスクルートのお話
ハムサンドいろいろ(撮影:ナガタユイ)
ナガタさんのサンドイッチのセミナーはこんな質問から始まります。
「皆さんはハムサンドと聞いて、どんなサンドイッチを思い浮かべますか?」
A 食パンにロースハム
B チャバタに生ハム
C バゲットにジャンボン
挙手では「食パンにロースハム」が多かったので、これは日本の定番サンドと言っていいのかもしれません。定番は国(地域)やライフスタイルによって異なるものです。
ローストビーフサンドイッチ
「サンドイッチ」という呼び名は、イギリスのサンドイッチ伯爵が18世紀に賭け事の最中に食べた「2枚の薄切りパンに冷製肉を挟んだもの」に由来しています。これはよく知られていますが、「冷製肉」はイギリス伝統料理のローストビーフのことで、そもそも「ローストビーフのサンドイッチ」は日常食であるパンに冷たくなった残り物を挟んだ料理だったのです。
また、フランスのバゲットサンドを「カスクルート」と呼ぶことがありますが、これはちょっと古臭い言い方になってきていて、フランスでも若い世代はそれを「サンドイッチ」と呼ぶそうです。日本語に例えると「おにぎり」を「握り飯」と呼ぶような感覚ではないか、とナガタさんは言います。おぼえておきたいですね。
カスクルート(撮影:ナガタユイ)
ちなみに「カスクルート」は「パンの皮を割る」という意味のフランス語からきています。バゲットを割って、中に何か挟む、ということです。バゲットの板チョコサンドはかつてフランスのおやつの定番でしたが、それはつまり、どこの家にでもあるパンに常備してある板チョコをバリっと割って挟んだだけの簡易おやつ。日常に即したものであり、わざわざ用意するものではなかったところがローストビーフサンドイッチと似ています。そして今は既製品のスナックに押されて、フランスでも、昔ほど食べなくなってきているそうです。