情報開示と正直経営が風評リスクを回避する
また近年で注目すべきは、組織内に抱え込まれていた企業不祥事等の情報が、内部告発によりいきなり表に出ることで企業の存続を危うくするケースが加速度的に増えている、という点です。すなわち、現在のレピュテーション・リスクの根源は、その多くが内部告発リスクであると言っても過言ではないのです。どんな大企業も内部告発は存続にかかわる
これらの事件に学ぶ、内部告発によるレピテーション・リスクの回避法は、なによりもまず不祥事の組織内隠蔽をしないことに尽きます。同じ不祥事発覚でも、企業の自主的な公表によるものと内部告発による発覚では、利用者や市場関係者印象には雲泥の差が生じるのです。また、内部告発者には日頃の組織内の風通しに対する不平不満や不祥事対応への進言を無視されたなどの動機が、必ずと言っていいほど見当たります。内部告発情報が組織外に流出する前の最後の砦として、経営とは切り離された第三者運営による通報システム設置なども内部告発リスク軽減策として講じる必要があるでしょう。
いずれにしましてもレピュテーション・リスクの管理を考えるとき、企業経営にとっては情報開示を怠ることなく組織内外に対して「正直」であることが何よりも大切であると、経営者は常に肝に銘じてマネジメントをおこなうべき、という結論の至るのです。