4/4 演劇cafe vol.3 吉原光夫さんインタビュー！ [演劇・コンサート] All About

日本の演劇史上最も上演回数が多い戯曲　『楽屋』稽古場リポート！

吉原光夫さんのインタビューに続いては響人・稽古場リポートです！劇作家・清水邦夫氏が1977年に発表した『楽屋～流れ去るものはやがてなつかしき～』は小さな楽屋で繰り広げられる4人の女優の物語。出演者が女性4人だけという事、上演時間が1時間15分程度である事、そして何より”女優”という普遍的な存在を描いた傑作という事で、日本の演劇史上最も上演回数が多い作品としても知られています。

（撮影：演劇ガイド・上村由紀子)

『楽屋』で演出を担当する吉原さん。立ち稽古に入る前に発声練習やストレッチ的な事は特に全員では行わず、出演者は個々に体をほぐしつつ雑談から徐々に戯曲の世界にスライドしていきます。この日はアーティストとして参加する里アンナさんもお稽古場に合流。吉原さんの演出意図を聞きながら自分の気持ちを軸にして舞台上のスペースを動きながら『楽屋』の世界を探ります。『レ・ミゼラブル』新版でファンテーヌを演じた里さん。本作でも美しい歌声が聞けそう！

（撮影：演劇ガイド・上村由紀子)

劇中”淀んでる”と言われてしまう女優A（末次美沙緒）と女優B (穴田有里).。末次さんの明るさと穴田さんのキュートさが面白いバランス。大まかに台本を通して行きつつ、途中で俳優の抱えるクセや問題点を見つけるとエクササイズ等を取り入れながら少しづつその状態を解きほぐそうとする吉原さん。

プレーヤーが演出に関わると、何か引っかかった時に自分がその場面を演じて見せる方向に走ってしまう事も多いのですが、丁寧に時間をかけ、俳優自身の中から問題解決の答えを見つけ出そうとする吉原さんの姿がとても印象的でした。「分からないことに傷つかなくていい。テンパらなくていい。考え過ぎない。」そんな言葉が優しく、深く稽古場に響きます。

（撮影：演劇ガイド・上村由紀子)

女優AとBが見つめる中、緊迫したやり取りを続ける女優C(波咲まこ)と女優D(遠山さやか)。実は『楽屋』にはある仕掛けが隠されています。その仕掛けの意味を知ってからもう1度リピートしてみると違った見方も出来て面白いかもしれません。

（撮影：演劇ガイド・上村由紀子)

この日、ガイドは約4時間お稽古場で取材をさせて頂いたのですが、その間1度もスタジオの空間がネガティブなものになったり、誰かが変な形で追い込まれ煮詰まっていくという事はなく、常に前向きなディスカッションと勇気あるトライに満ちた風通しの良い現場だったと思います。

吉原さんの口から何度も出る「常に相手の為に」という言葉。それを体現するエクササイズと全員の信頼関係……それらが全て観客の前でオープンになる4月1日の初日まであと少し。響人のお稽古場は益々熱くなっています！

『楽屋・署名人』

◆ Artist Company 響人第9回公演
『楽屋・署名人』 作：清水邦夫演出：吉原光夫
2014年4月1日（火）～6日（日）
音楽：nanoline　feat. 里アンナ＆西川大貴
APOCシアター（東京都世田谷区桜丘5-47-4　小田急線「千歳船橋駅」下車）
※『楽屋』と『署名人』は交互上演　→　公式HP