「こどもの城」閉館問題を考える

2015年1月末をもって閉鎖された東京都渋谷区の「こどもの城」。1985年に国立の児童厚生施設としてオープンした同スポットには、子どもの体験型プログラムを行うスペースと共に「青山劇場」「青山円形劇場」の2つの劇場も併設され、多くの演劇人や観客たちに愛されてきた。

今回は2つの劇場の歴史を振り返りながら、オープンから30年しか経っていない同施設のクローズについて考えてみたいと思う。

青山劇場=世界でも類を見ない舞台機構

青山劇場が開場したのは1985年。客席数は約1200、全床スライド式の二面の主舞台に加え、24基の小迫りを有する舞台装置機構は世界でも類を見ない贅沢な作りで、他では不可能な演出もこの劇場では成立すると高評価を得てきた。

こけら落とし(=新しくオープンした劇場が最初に行う公演)は劇団四季の『ドリーミング』。メーテルリンクの児童小説「青い鳥」を原作としたオリジナルミュージカルで、出演は市村正親、保坂知寿、山口祐一郎、野村玲子、志村幸美、前田美波里らの超豪華キャスト。

当時劇団四季は常設劇場を所有していなかったこともあり、日比谷の日生劇場とともに、青山劇場を常打ち小屋として使用していた。『ドリーミング』の上演後も『エクウス』『ロミオとジュリエット』『コーラスライン』『夢から醒めた夢』劇団創立35周年記念公演『35ステップス』など、多くの作品を同劇場で上演。

さらに毎年恒例となった子役を中心としたミュージカル『アニー』や、少年隊が長らく主演を務め、同劇場最後の作品ともなった『PLAY ZONE』シリーズ、つかこうへい氏作・演出の『幕末純情伝』『飛龍伝』など青山劇場は多くの作品を世に送り出してきた。

青山円形劇場=東京の小劇場の歴史を支える

また同じ敷地のビル内にあった青山円形劇場も360度、円形の舞台の周囲に客席が組めることから”ここでしか成立しない作品がある”と、多くの演劇人に愛され、作り手にも非常に人気の高い劇場だった。

女性だけの劇団として80年代に一世を風靡した「劇団青い鳥」や、90年代に演劇界に新しい風を吹かせ、今なお第一線で活躍する「ナイロン100℃」、2000年代に入り頭角を表してきた「イキウメ」「劇団、本谷有希子」etcetc……。とにかく同劇場では数え切れないほどの劇団&プロデュース公演が行われてきた。青山円形劇場がオープンからクローズまでの30年の間に、東京の小劇場の一つの歴史を創り上げたと言っても過言ではないだろう。

上記の理由から青山円形劇場の閉館を惜しむ声は演劇界でも非常に多く、「こどもの城」施設全体の閉館を見直すよう求める署名運動や、議会への訴えかけとなり広がっていく。

しかし行政は2012年に出した閉館の決定を覆す事はなく、2015年1月末をもって「青山劇場」「青山円形劇場」を含む「こどもの城」の全施設はクローズされた。

が、ここ最近の「ある動き」を見ていて”もしかしたらこの決定が動く可能性もあるのでは……?”と、ガイドは一縷の望みを見出しているのである。

その”一縷の望み”の理由とは?(次ページ)