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アノ問題が関係?青山劇場・青山円形劇場閉館を考える(2ページ目)

2015年1月末をもって30年の歴史に幕を閉じた「こどもの城」(東京・渋谷区)。この施設内にある二つの劇場=「青山劇場」と「青山円形劇場」の歴史を振り返りながら、改めてその閉館について考えてみたい。

上村 由紀子

執筆者:上村 由紀子

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「こどもの城」閉館の理由とは?

「青山劇場」「青山円形劇場」を含む「こどもの城」は、そもそも何故閉鎖されることになったのか。

現在閲覧できる範囲内で資料を調べてみると、閉鎖の最も大きな理由として挙げられているのが「建物の老朽化」である。東日本大震災以降、建物の耐震性について調査を行った所、補強工事が必要で、その費用が100億円を超えると言われており、主に安全上の理由から閉館の判断となったとのこと。

ただ二つの劇場は開場からまだ約30年……これより以前に建てられた都内の劇場は数多くあり、現時点でどれも普通に稼働している。例えば日比谷の帝国劇場は100年以上の歴史があるし、日生劇場も50年以上観客を迎え続けているのだ。更に青山劇場に併設されていたレストラン「カフェ キャッスル」は、閉館が発表される2か月前にリニューアルオープンを果たしている。

オリンピック関連事業が仕切り直されるなら……

ご存知の通り、2020年に開催予定の東京オリンピックの関連事業として計画された新国立競技場の建設問題はリスタートとなり、エンブレムもデザイナー本人のデザイン取り下げにより新たな選定を行うことになった。オリンピックの関連事業のいくつかは現在「仕切り直し」の最中なのだ。

そう、これこそが”一縷の望み”の理由である。

もし一部でささやかれている通り、「こどもの城」の跡地にオリンピック関連施設の計画が予定されているのであれば、こちらも「仕切り直し」の対象になる可能性は捨てきれない。2015年9月現在、閉館から8か月経っても取り壊し等の工事が始まっている様子も見てとれないし、R246から劇場前のスペースに自由に入れる状態は未だ続いている。岡本太郎作のモニュメント「こどもの樹」もそのままだ。

政治的なアレコレは良く分からないが、子どもの頃から「演劇」という文化に接し続けてきた一人として、これだけ多くの人に愛され、表参道という立地にある2つの愛すべき劇場が無くなってしまうのは心底惜しいと思うし悲しい。

新しい形で、二つの劇場がもう一度観客の笑い声や感動の涙で満たされるのを、客席で体感したいと心の底から願うばかりである。

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