マンション物件選びのポイント/マンションの間取り

マンションの間取りの基本:2戸1型(高級マンション型)(2ページ目)

マンションで住戸2戸に対してエレベーター及び共用階段を1つづつ設けた形式をマンションの「2戸1型」と言います。2戸1型は通風、採光、プライバシー性の高さからヴィンテージマンションでも採用されているカタチです。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

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玄関はセンターイン

2戸1型マンションの間取り例を【図2】に示します。間取りの特徴としてまずは住戸玄関の位置に注目してみましょう。一般的な外廊下型マンションの玄関は、外廊下に面する短辺側にあるのが一般的ですが、2戸1型の住戸の玄関は住戸の長辺側のちょうど真ん中あたりに来ます。これを「センターイン」と言います。
【図2】2戸1型マンションの間取り図の例。玄関が中央にある。

【図2】2戸1型マンションの間取り図の例。玄関が中央にある。



センターイン形式の間取りのメリット

センターイン形式だと、PP分離(PPぶんり)の間取りが可能になります。PP分離のPはパブリックとプライベートのふたつのPを表し、パブリックとはリビングやダイニング、プライベートとは主寝室や子ども室、浴室などのことです。【図2】では玄関を入って左側に個室とバス・トイレゾーン、右側にリビング・ダイニングゾーンと、左右に空間が振り分けられています。

センターインのため玄関から各室への動線は短くなります。また、パブリックとプライベートの空間が離して配置されるので、ホームパーティなどで人を招いたときに私的空間を見られずにすむというメリットがあります。この形式は高級マンションの間取りで多く見られる形式です。

2面バルコニー

2戸1型マンションの住戸は、中住戸でもメイン開口(南側)と北側の2面開放が可能で、プライバシーが確保されているので窓を開けて自然の通風や採光を取り込んだり、景観を楽しむことができます。

3戸1型、4戸1型もある

今回は2戸1型のマンションをご紹介しましたが、同じように一つの階段、ひとつのエレベーターというユニットに3つの住戸が張り付く形を「3戸1型」、4つの住戸が張り付く形を「4戸1型」と呼びます。また別な機会に間取りをご紹介したいと思います。いずれも2戸1型の仲間です。

2戸1型は、最も贅沢な造り

2戸1型は高級マンション、ヴィンテージマンションで多く見られます。

2戸1型は高級マンション、ヴィンテージマンションで多く見られます。

2戸1型のマンションは、マンション全体で階段数もエレベーター数も多く抱えることになり、建設費用や建てた後のメンテナンス費用もそれだけ余分にかかります。住戸数を確保することを第一に考えるマンションでは実現しないカタチですが、その居住環境の良さはなににも代えがたいものです。

現在では効率を重視した外廊下型マンションが主流となっていますが、高級マンション、名作と言われるヴィンテージマンションではこの2戸1型が採用されています。2戸1型マンションは、最も贅沢なマンション形式といってよいでしょう。

 

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