フレンチ/東京のビストロ

【閉店】ターブル コンヴィヴィアル(渋谷)

【閉店】2015年に業態チェンジのため閉店となりました。渋谷は宮益坂下にある人気パン店「ゴントラン シェリエ」がフランスの地方料理を散りばめたビストロを開店。ストーリがあるリストには3800円のワインが充実。最近のオススメの一軒だ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ゴントラン シェリエ東京のビストロがオープン

レストランのパンが美味しすぎると、ついつい食べ過ぎてしまう。バターも何種類か用意されており、それがまた旨いものだからメインディッシュに辿りつく頃にはお腹一杯になってしまう。そんな苦い経験を持つトラウマからか、パンの美味しいビストロでは、パンとワインとチーズがあればそれで十分という偏見を持ち続けていた。
ゴルトランシェリエ

エントランスは店内の階段から

2014年1月、フランスで人気のブーランジェリーの日本店、ゴントラン シェリエ東京(渋谷は宮益坂下)のビストロが開店したと聞いた。1Fはブーランジェリーで2Fのカフェをイートインスペースに変え、B1を新たなビストロとして、フランスの地方料理とフランスワインを楽しむ店としてリニューアルが行われた。
ゴルトランシェリエ

帰りに翌朝のパンを買いたくなる。

渋谷はヒカリエの誕生以来、東西南北に街が広がり、エリア毎に個性がはっきりとした街に変わりつつある。私がはるか昔の学生時代、渋谷はセンター街と公園通りしかなくて、23時には飲食店は閉まっていたなんてことがまるで夢のようだ。

宮益坂下のちょうど交差点という抜群の立地にゴントラン シェリエ東京があり、その店内から地下に降りると渋谷ならではのスタイリッシュさと押し付けの緩いモダンさを持つインテリアが視界に入る。
渋谷

赤い看板がひときわ目立つ

徹底して地方料理にこだわり、ワインのセレクションも南西部を中心に驚きの値段でリストアップされている。料理の値段とワインの値段は同じ位だととても安心して何本も空けてしまう。パンのおかわりを押し付けられることもないから冒頭に述べた不安もない。

オープンキッチン、そして手前のカウンター、テーブル、奥の間仕切りのある個室スペースが無駄なく配置され、開放感とざわざわ感が交差するどこに席をとっても心地良さを感じる。
コンヴィヴィアル

カウンターも楽しそうだ

名物料理はアルザスのペッコフだという。鉄鍋の蓋をパン生地で閉じて、3種類のお肉とソーセージ、じゃがいもをじっくりと煮込んだアルザスの郷土料理だ。

まずはカレー風味とイカスミのバゲットがアミューズで。パンはこれで十分かも知れない。パンメニューもあるが、それ以上にアラカルトメニューが充実し、パン屋のビストロと思わずに郷土料理の数々を選んでいきたい。

まずは、これでしょ!と選んだのはジャンボンペルシエ(豚肉のゼリー寄せ)。個人的に大好きな料理のひとつだ。周りにはオニオンのソースが敷かれ、ほんのりとした塩加減と肉の食感がたまらく調和する。グラスでアルザスとガイヤックの白ワインを合わせたが、調和の幅を広げ、料理がさらに旨味を益す。
コンヴィヴィアル

これぞフランス料理!

ウフピペラードは南西部の郷土料理。生ハムやピーマン、パプリカ、香辛料などが盛り込まれている。ほっとする味わいにし食の記憶がフランス中を駆け巡る。オニオングラタンスープも寒い季節には外せない一品。玉葱の炒め具合やフォンの味わいのバランスなど仕込みの丁寧さがわかる料理でもある。もう少しボリュームが欲しかったが、これまた気持ちも身体も温まり、メインディッシュを待つ。
コンヴィヴィアル

卵のふんわり感とスパイスが見事に調和する


 

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