マネジメント/マネジメントの基礎知識

リスク・マネジメント~その1「不確実性」のリスク(2ページ目)

マネジメントにおいて最重要事項とも言えるリスク・マネジメント。企業活動が直面する2つのリスク分類、「不確実性」と「危険性」のリスク。まず今回は「不確実性」のリスクに焦点をあて、その種類とリスクの内容、さらにはリスク回避の方法についてを具体例を挙げながら解説します。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

「不確実性」のリスクは、ヘッジとテークのバランスが肝心

「不確実性」のリスクの中で言葉だけからはイメージしづらいものとして、流動性リスクというものがあります。組織マネジメントにおける流動性リスクとは、売掛と買掛の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になるリスクのことを指しています。分かりやすく言うなら、手元資金不足リスクです。

通常、企業の流動性リスクは、運転資金やつなぎ資金等を間接金融である銀行等の協力で確保することで回避します。しかし、突発的かつ大きなリスクの顕在化やコンプライアンス違反等による企業の信用リスクの発生により、資金手当てがままならずに流動性リスクを回避できずに倒産に追い込まれる例も間々あるのです。銀行からの資金確保ができなくなり流動性リスクが一気に噴出して倒産に追い込まれた例はたくさんあります。メインバンク日本長期信用銀行の破たんにより急激に資金繰りに行き詰った大手百貨店そごうや、メインバンクとの関係悪化により支援を打ち切られ破たんした大手スーパーのマイカルなどはその代表例と言えるでしょう。

解説

「不確実性」のリスクは、ヘッジとテークのバランスがポイント

他にも「不確実性」のリスクとしては、金利リスク、為替リスク、インフレリスクなどが挙げられます。企業の業種によってはこれら以外にも「不確実性」のリスクとして認識し管理する必要があるものも多数あるでしょう。「不確実性」のリスクに関しては、それぞれのリスクが顕在化した場合の組織的な損失を計量することで、重大なリスクに関してはリスク顕在化を想定しその最小化をはかりますが、一方で許容できるリスクに関しては一定量をコストとして見込みつつより大きな利益を求めるというやり方もまた重要になってきます。すなわち、リスクヘッジとリスクテークの考え方です。

「不確実性」のリスクに対するリスクヘッジは大切ですが、ヘッジを気にするあまりシュリンクしてしまうことで事業を縮小均衡させることにもなりかねません。かといって、行き過ぎたリスクテークは事業そのものを崩壊させかねません。リスクヘッジとリスクテークのバランスを取りながら、いかにして上手に「不確実性」のリスクと付き合っていくかは、マネジメントにおける最重要課題のひとつなのです。
※次回は「危険性」のリスクを中心に、引き続きリスク・マネジメントについて取り上げます。

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