2、「数字」(吹きこみ年等)は出来る限り正確に

マイルス・デイヴィスジョン・コルトレーンなどに代表されるように、同じジャズメンでも時代によってスタイルが激変してしまう事も多いジャズでは、録音年月日も、重要なポイントになります。

CDにはプレスされた年が書かれているので、古い演奏が多く、くりかえし再発されるジャズでは、録音された年と必ずしも一致しないので注意が必要です。

会話の中で、時代とともにスタイルが変わったミュージシャンの話題などが出た場合のためにも、せめて自分の好きなアルバムの録音年は覚えておく事をおススメします。

また、数字に関連して、バンド編成の用語も覚えておきましょう。ピアノなどで一人で演奏する事を「ソロ」、二人の場合は「デュオ」。三人は「トリオ」、四人は「カルテット」以降「クインテット」「シクステット」「セプテット」「オクテット」「ナインテット」「テンテット」。

11人以上になると単に「バンド」や「オーケストラ」、「ビッグバンド」などと呼ばれます。ここを押さえておけば、知らないアルバムでも編成の見当がつきますので便利です。
 

テディ・チャールズ「テンテット」より「ジ・エンペラー」

The Teddy Charles Tentet

The Teddy Charles Tentet


この演奏が録音されたのは1956年。モダンジャズ期の中でもおそらく最高に熱かった時期になります。

この時期に録音されたものは、どれを聴いてもモダンジャズの醍醐味を味わえる演奏ばかりですが、このヴァイブ奏者テディ・チャールズの「テンテット」は少し毛色が変わっています。

数名の気鋭のアレンジャーが、テディのもとに集まった十人のミュージシャンために腕をよりすぐりスコアを持ち寄った、というような内容です。そのためこの時期多かったストレートなアドリブ合戦というよりも、アレンジされたサウンドの妙を聴かせるやや変化球的な内容になっています。

おそらくは各人がスコアをにらみながらの演奏になったと思われます。そういう意味では、各人のアドリブという面に注目すると、やや物足りないとも言えます。

その中にあって、この「ジ・エンペラー」は各人のソロが躍動感で弾んでいる曲になります。才人ジョージ・ラッセルのアレンジのためクリティックに取り上げられることが多い有名な一曲目の「ヴァイブレーション」。でもむしろ同じアレンジャーでも、各人のソロが生き生きとしているこの曲の方がおススメです。

ジョージ・ラッセルやギル・エヴァンスなどあたかも高名アレンジャーの競演のようになったこの録音です。逆に言うとこの1956年と言うモダンジャズの最盛期に、ニューヨークにおいてこのようなアレンジ重視のアルバムが吹きこまれたと言う所に注目です。テディ・チャールズの進取性を感じるところでもあります。

正直演奏自体はそういった試みがすべて成功したとは言い難いものですが、印象的な黒のジャケットのムードにピッタリのインテリな雰囲気のジャズとして会話にのせれば、ジャズ通にみられること請け合いです。

ちなみにこの録音には、名前が似ている所で出てきたテナー奏者「JRモンテローズ」が参加しており、短い中でも特徴的なソロを取っています。

この辺から、「このJRモンテローズって、同じテナー奏者のジャック・モントローズとは別人なのをご存じですか。」などと会話を持って行ければ、最高ですね。

次のページでは、一番大切なコツをお教えします!

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