TOEICのPart3/Part4対策でまずやるべきこと
リスニング力をつけることが何より肝心
以前の記事「スコアアップと使える英語を同時に身につけるTOEIC勉強法」では、Part3とPart4では、「聞きながら解答する」というテクニックを使っている受験者が多いため、「リスニングテストなのにリスニングしていない」ということを指摘した上で、「もっと聞くことに集中して、リスニング力そのものを鍛えることが大切である」というお話をしました。
この記事では、「英語が聞こえる」ようになるために、具体的にどうすればよいかについてお話させていただきます。
まずは、問題を解き終えた後に、もう1度、「何も見ずに、純粋に放送文だけを聞いたらどれくらい理解できるのか?」ということをチェックしてください。
<目次>
TOEICのPart3/Part4は、放送文の理解度が全て
私が主宰するスクールのレッスンでは、問題を解いてもらった後に、「先ほど問題を解いていた時は何パーセントくらいわかって、今度聞くことだけに集中したら何パーセントわかりましたか?」と、生徒さん一人ひとりに訊きます。「さっきは20パーセントで、今聞いたら40パーセントくらい」という人(1)もいれば、「60パーセントが80パーセント」という高い理解度だった人(2)もいますし、「5パーセントが10パーセント」というように、そもそも英語が全然聞こえてこないタイプの人(3)もいます。
実は、「放送文そのものをどれくらい聞き取ることが出来るのか」をチェックするだけで、テストを受けなくても、大体の予想スコアは算出できてしまいます。つまり、「放送文の理解度が全て」と言っても過言ではありません。
(1)の人は、300点前後
(2)の人は、400点前後
(3)の人は、200点前後
ちなみに、リスニングセクションで満点(495点)を取る人は、放送文を平均80~90パーセントは理解できているはずです。
私はこの理解度を教えてもらっただけで、「あなたは350点くらいは取れそうです」「あなたは450点取れてもおかしくないリスニング力を持っています」、「あなたはおそらく200点台ですが、そもそもTOEICを受ける以前にやらなければいけないことがあります」と、ある程度は予想でき、対応策も提案することができます。
(1)の人は、聞くことに集中できるような解き方に変えつつ、リスニング力そのものも上げていく必要があります。
(2)の人は、後は正しい解き方を身につけるだけで、スコアアップできます。
(3)の人は、そもそも英語が聞こえないので、聞こえる体質に変えるための努力を最優先させる必要があります。逆に、体質改善をしない限り、いくら問題演習をしても空回りする可能性が高いです。
リスニング力を高めるには英語の音声トレーニングを
正しい解き方を指導することに加えて、「英語が聞こえる体質にする」ための音声トレーニングを最も重視しています。Part1とPart2同様、Part3やPart4でも、「言えるものは聞き取れる」という考え方が大切です。
具体的には、「TOEICテスト新公式問題集Vol.4」の音声を使い、シャドーイング、オーバーラッピング、音読など、耳と口を使った練習を徹底的に行います。
TOEICの音声を暗唱できるようになれば、聞き取りがずっと楽になる
TOEICで使われるような会話やトークをスラスラと空で言えるようになってしまえば、それを聞き取ることは容易になるからです。「言えるものは聞き取れる」ということです。
また、暗唱は英語を話すことにもっとも近い行為であるため、TOEICの勉強を通じて、「使える英語」も同時に身につけることができます。
TOEICのリスニング力を高める「澤田式」音声トレーニングの手順
Part3の会話やPart4のトークを暗唱できるようになるための方法をご紹介します。一人のスピーカーしか出てこないPart4のトークの方が暗唱しやすいので、まずはPart4からやり、慣れてきたら、Part3の会話も言えるようにするとよいでしょう。
以下の手順で、意味の確認と音声トレーニングを行うことで、ネイティブの発音やイントネーションを体に染み込ませるようにします。
~第1段階~
【意味の確認&音声を口に馴染ませる】
1. スクリプトを見ながら、放送文を聞く
文字を見て、聞いただけではわからなかった箇所を確認します。
2. 一文ずつ和訳→英文の順番で音読して、意味をチェック
「みなさん、こんにちは。まず、・・・をお知らせしたいと思います」
Good afternoon, everyone. First, I want to inform you that…
先に母国語である日本語で意味を確認すると、英文が頭に残り易くなります。
3. スクリプトを見ながらCDの音声を「口パクでシャドーイング」
放送文のシャドーイングを口パクで行うことで、ナレーターの吹き込みがよりはっきり聞こえるので、正しい発音を確認しやすくなります。
4. スクリプトを見ながらCDの音声を「声に出してシャドーイング」
なるべくナレーターの音声を真似するように意識しましょう。
5. スクリプトを見ながら「オーバーラッピング」
CDの音声に自分の声をピッタリかぶせ、同じスピードで言うようにします。
6. スクリプトを見ずにCDの音声を「口パクでシャドーイング」
音声だけのシャドーイングの場合は、特にしっかり聞き取る必要がありますが、最初に口パクでやることで、音がはっきりと耳に入ってきます。
7. スクリプトを見ずにCDの音声を「声に出してシャドーイング」
まずは、この「見ないでシャドーイング」が完璧に出来るようにすることが目標です。これが出来るようになるまで、「見ながらシャドーイング」と「オーバーラッピング」を繰り返してみてください。
8. 音速読(なるべく速く音読)をする
最後に、ナレーターと同じスピードで音読できるようにします。予めナレーターが放送文を読み上げる時間を計測し、自分でも同じスピードで読めるようになるまで、音読を繰り返します。ナレーターと同じ速度で読めるようになると、放送文の体感速度が遅く感じるようになり、聞き取りが楽になります。
音声トレーニングの英文を覚えて言えるようにする
音声トレーニングによって正しい発音が口に馴染んだら、「実際に英文を覚えてスラスラ言える(暗唱できる)ようにする」第2段階に進みます。第2段階は以下の手順で行います。
~第2段階~
【英文を覚えて言えるようにする】
1. 和訳を音読→英文をread&look up
意味を再確認するために、1文ごとに、和訳を音読して、英文を一度音読したら、見上げて空で言います。このトレーニングを「read&look up」と呼びます。正しく言えていたかスクリプトで確認し、次のセンテンスに進みます。1回で言えなければ、言えるようになるまでread&look upを繰り返します。
2. 和訳を見たら、英文を言えるかチェック
和訳を読んだ瞬間にその英文が言えるか確認します。言えなかったら、再度read&look upをして、英文を口に馴染ませます。
3. read&look upの範囲を増やす
ここまでは、1文ごとに言えるようにしていましたが、今度は2文ずつ音読したら、見上げて空で言う、というように範囲を増やしていき、最終的に全体の暗唱に持っていきます
まずは、前半(2~3文)と後半(2~3文)に分けて言えるようにし、つなぎ合わせることによって暗唱を完成させます。
4. 時間を測りながら、暗唱をチェックする
ある程度、全体を空で言えるようになったら、ストップウォッチで暗唱のスピードを計測します。この時間をナレーターが読み上げるのにかかる時間となるべく近づけるようにします。例えば、ナレーターが30秒で言っていて、自分の暗唱が60秒だったとしたら、それを50秒、40秒、30秒と縮めていくようにします。
上記の手順でスラスラ暗唱できるようになったトーク(Part4)や会話(Part3)が増えていけばいくほど、これらのパートの放送文の聞き取りが楽になるだけでなく、英語を話せる体質に変わっていきます。
このようにして、リスニングセクションのスコアを上げながら、「使える英語」も同時に身につけていくことができるわけです。
みなさんも「スコアアップ」と「使える英語」を同時に獲得するような方法で、TOEIC学習をされてみてはいかがでしょうか。
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