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3階建て住宅で暮らす/3階建て住宅の基礎知識&ノウハウ

狭小地でも3階建てで広く暮らすには(2ページ目)

3階建ての大きなメリットは、狭い土地でも広く快適な家が作れること。さらに、家を建てる総コストが2階建てに比べて安くなるケースもあるとか。今回は、3階建て住宅のメリットについて説明しましょう。

提供:旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)
西野 功市郎

執筆者:西野 功市郎

3階建て住宅で暮らすガイド

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狭小地や厳しい条件下でも、広々とした家にするポイント

限られた敷地内で快適で暮らしやすい家にするという点では、2階建ても3階建ても考え方の基本は変わりません。しかし、狭小地に3階建てを建てる場合は、より厳しい条件下でいかに広く感じさせるか、どのようにして広々とした空間を確保するか、が設計者の腕の見せどころといえます。
ここで、いくつか紹介しましょう。

(1)優先順位をつける
最初に挙げられるのは「設計に優先順位をつける」こと。
どんな家でも敷地は限られていますし、そこに必要な個室やキッチン、浴室といった水まわりの数もだいたい決まっています。これは、すべての住宅を設計する場合に共通することですが、狭小地であれば、その取捨選択がよりシビアに求められます。

広いリビングと収納はどちらを強く希望しているのか。個室を狭くしても客間をとるべきなのか。こういった希望の内容は、ご家族によって異なります。何を優先すべきなのか、をはっきりとさせ、限られた空間の中に最も効果的にそれらを配置していくのが、住宅の設計です。そのためにも、私たち設計担当者は、普段の暮らし方や、新居で希望している生活など、事細かに伺うようにしています。

(2)空間を兼ねる
次に挙げられるのは、「用途が異なる複数の空間を兼ねる」方法です。
例えば、階段をLDKの一部分として兼ねる、という手法です。階段を階段室として壁で囲い、独立させると、それなりに面積を必要としますが、壁を取り払ってリビングの一角に取り込んでしまえば、階段もリビングの一部になります。結果的にLDKは広くなり、視覚的にもぐんと広がりを感じることができるでしょう。
階段をリビングの一部に取り込むと、実際の面積より広く感じられる

階段をリビングの一部に取り込むと、実際の面積より広く感じられる


また、1階のホールと普段はあまり使用しない客間を、壁ではなく引き戸で仕切り、ふたつの空間を一体化させるようにしておくというのもよいアイデアです。いつもは客間の引き戸を開け放しておくことで、1階が全体に連続した空間となり、より広さを感じられることでしょう。

1階ホールと部屋を引き戸で仕切った例

1階ホールと部屋を引き戸で仕切った例


階段ホールと部屋を引き戸で仕切った例。ガラスの引き戸なので、閉めていても視線が遮られません

階段ホールと部屋を引き戸で仕切った例。ガラスの引き戸なので、閉めていても視線が遮られません(クリックで拡大します)


このように、必要に応じて引き戸を採用し、複数の要素をまとめ、空間を重ねるように設計することで、広い空間を確保できます。
「この空間は○○の部屋」といった固定観念を捨て、空間のつながりに柔軟性を持たせることで、実際の面積以上に広く使うことができるのです。

(3)収納は集中と分散
3つめは、収納の配置です。
収納をどうとるかも、広く暮らすためのポイントになります。できるだけ多く取れればよいのですが、多く取り過ぎると、部屋が狭くならざるを得ません。逆に少な過ぎると、収納家具を置くことになってしまい、有効な床面積を小さくしてしまうことになります。

そこで大切なのが「集中収納」と「分散収納」です。家の中に、毎日の生活では使わないものを収納するための大きな収納を一カ所設けます。これが集中収納。代表的なものは「納戸」です。年に一度しか使わない雛人形のようなものや、夏は出番のないスキーなどの季節物をまとめてしまえるように計画します。

一方で、毎日頻繁に使うものや、必要な場所でサッと取り出せないと不便なものは、各部屋に収納を設けます。これが分散収納です。特に、家族が集まるリビングのような場所には、いろいろなものが必要になってきます。しまうものに合わせて、量だけでなく奥行も考慮し、引き出しにするのか棚にするのか、など形状も考えて収納を確保しないと、使いにくく片付かない収納になってしまうので、注意が必要です。

目安としたい収納量は、延床面積の10%です。大きな納戸を確保することが難しい場合は、小屋裏収納を作るという方法もあります。
また、収納は奥行を深くするよりも、薄くとも壁面にスペースを取ったほうが、使いやすいものです。たとえば、廊下を兼ねた空間に本や小物を収納するための壁面収納を設けるのもアイデアです。分散収納は量を確保するだけでなく、使う場所の近くにつくる、いわゆる適材適所が基本ですから、壁面に収納がつくれない場合は、床面を上げてその下を収納にすることなども考えてみましょう。収納計画は、小さな工夫が生活のしやすさを左右します。
廊下を兼ねた空間に大容量の魅せる収納を設置

廊下を兼ねた空間に大容量の魅せる収納を設置


(4)視線を長くとる
4つめは、視線を長くとること。家の中に、視線の長い空間を少なくとも1カ所以上つくることです。

前述の「空間を兼ねる」という説明で、LDKに階段を取り込む手法を紹介しましたが、このように空間を兼ねることは、視覚的にも広さを実感できる効果があります。空間を壁で細かく区切ってしまうと視線は壁で遮られますが、複数の空間を引き戸などでつなげたり、家具でそれとなく仕切ることで、視線を遠くまで伸ばすことができます。

狭小地では、間口が狭く、正方形の広い空間をとれないことも多いのですが、細長い部屋であっても、その長辺を生かすと、視線を長くとることが可能になります。こういった特性を上手に使って設計すれば、実際の面積以上に空間を広く見せることができるでしょう。

視線の延ばし方は室内だけに限りません。たとえば、LDKからバルコニーまでをひと続きの空間に見立てて、視線を窓の外へと導いて視覚的な広さを確保したり、あるいは吹抜けを活用して上方向に視線を延ばすようにするなど、狭小地であっても広々とした快適な家を設計する手法はたくさんあるのです。

(5)動線を短くまとめる
5つめの手法は、動線についてです。家の中のさまざまな動線をまとめるのも、広く暮らすのに有効な方法の一つです。

廊下をなくしてLDKを通路とするのも、動線をまとめることになります。なかでも、家事動線をまとめることで動線は短くなり、家事効率がアップします。キッチンや浴室、洗面室、トイレなどを近くにまとめれば、料理をしながら洗濯を同時に行ったり、あるいは各エリアの掃除や日常の手入れなども一度にすませることができるでしょう。
関連するエリアを1カ所にまとめていくと、音の発生源などもまとまることになります。配管なども短くなるため、建築コストを抑えることにつながる可能性もあります。


このように、さまざまな設計手法を駆使することで、都市部の狭小地でも広々と快適に暮らせる3階建てができます。しかも、こういったアイデアは、2階建てと比べて、大幅なコストアップの要因になるわけではないのです。
「便利な都市部で3階建てを建てる」という夢は、工夫次第で手に入れられるのです。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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