夜間も変性皮脂はつくられている
ここまでの情報があれば、変性皮脂をそのままにしておくことによるデメリットがお分かりいただけたと思います。次は、特に夜間の変性皮脂量を確認してみましょう。右のデータは、夜の洗顔から10時間経過後の肌表面の変性皮脂量のグラフです。変性皮脂中の不飽和脂肪酸量を測定しています。この結果からも、確実に皮脂は分泌され、それの一部は変性皮脂に変わっていることが分かります。
水、お湯だけでは落とし切れない変性皮脂
右のグラフは、洗顔前の変性皮脂を100%として、洗顔後の変化をみているグラフです。洗顔料の有無に関わらず、擦らないようにやさしく洗った結果です。こめかみ、頬のいずれでも、水、お湯だけでの洗顔では変性皮脂が残留していることが分かります。油性のお化粧が水やお湯だけでは落ちにくいことからも分かるように、皮脂も落ちにくいのです。特に20代~40代の女性が気になる鼻と頬の毛穴には、この変性皮脂が関与していることが分かります。朝夜の洗顔で、洗顔料を用いて適切に落とす必要があると言えます。
今回は、花王から提供していただいた研究結果を元に、洗顔の際に洗顔料を使うべきか使わないべきかを考えてみました。最後のデータは、顔の2ヶ所の部位に関して調べた結果ですが、もしまぶたも調べたとしたら、皮脂は計測されなかったはずです。それはまぶたには皮脂腺がないからです。その点から考えても、過剰な洗浄は肌のバリア機能を低下させ、様々な肌トラブルを引き起こす可能性があります。よって朝の洗顔の際には、Tゾーンを中心とした日中に皮脂分泌が気になる部分、ニキビができやすい部分を中心に、洗顔料を使用することをおすすめします。