絵本/クリスマスの絵本

2月 心が温かくなる5つの雪物語(3ページ目)

冬の絵本の中でも、雪をテーマにした絵本ほどバラエティ豊かな作品群はありません。そこで今回は、特にストーリーの面で優れた雪物語を年齢別に、5つ選んでご紹介します。いずれも寒い季節にこそ読みたい心温まる作品です。

執筆者:大橋 悦子

元気いっぱいの少女を襲うドキドキの出来事 『雪の森のリサベッド』

リサベットは『おもしろ荘の子どもたち』で大活躍するマディケンの妹です

リサベットは『おもしろ荘の子どもたち』で大活躍するマディケンの妹です

リンドグレーンのお話が大好きという女の子がたくさんいます。豊かなストーリーはもちろん楽しいのですが、人気の秘密は、お話が全て子どもたちの目線で描かれていることにあるのではないでしょうか。

ご紹介する『雪の森のリサベット』は、主人公のリサベットが家人の言いつけを守らず、雪の森で迷子になってしまうお話です。作者は、独りぼっちで白銀の世界に取り残されてしまったリサベットの不安や、約束を守ればよかったという後悔など、彼女が折々に感じる様々な感情に優しく寄り添って、お話を進めていきます。

叱られて当然のことをしでかしたリサベットですが、周りの人々は叱ることなく、むしろ、心配しうろたえながらも、愛情いっぱいにリサベットに接しています。この物語を読む子どもたちも、リサベットは叱られるかもしれないと心を痛めながらお話を聞く訳ですから、主人公だけでなく読者の気持ちにも寄り添ったストーリーになっているのですね。

子どもたちが、いつも大きな愛情に守られていることを実感しながら、絵本の世界でハラハラ・ドキドキの気持ちを味わえる秀作です。
  詳しくはこちらでどうぞ → 元気印の女の子が主人公『雪の森のリサベッド』
 

雪の日の経験が少年を成長させる 『雪の日のたんじょう日』

1人で読むのは、まだちょっと難しいけれど、長いお話もしっかり聞けるようになった子どもたちに、ぜひ味わってほしい作品をもう1つご紹介します。バーバラ・クーニーが挿画を手がけた『雪の日のたんじょう日』です。 主人公のスティーブンは、自分の誕生日に雪が降ることを願っています。ところが、願いはかなったものの大雪になってしまって、楽しみにしていた誕生会まで中止になりそうです。落胆するスティーブンの家に、見知らぬ人が訪ねてきました……

誕生日の雪をめぐって、泣きそうになったり、落ち込んだりする主人公が、やがて自分を取り巻く人々の優しさや愛情に触れて、その温かさに気づき成長していきます。自分と同年代の少年に心を寄せ、その少年の成長を実感できるお話は、きっと子どもたちのお気に入りになることでしょう。

『雪の森のリサベット』同様に、こちらも単行本仕様の作品ですが、「長いお話に飽きないかしら……」という心配はご無用です。お子さんが、バーバラ・クーニーの絵に導かれるように、すうっとお話の世界に引き込まれていることに、読み始めてすぐに気付かれることでしょう。
   
詳しくはこちらでどうぞ → 雪から少年へ最高の贈り物 『雪の日のたんじょう日』
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