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パズドラの「スマホ→3DS→スマホ」作戦(2ページ目)

スマートフォンで大ヒット中のパズル&ドラゴンズがニンテンドー3DS用タイトル「パズドラZ」として発売。初週50万本以上を販売、出荷は既に100万本を突破と、大変なヒットとなっています。パズドラZが3DSで売れたということは、スマートフォンのパズル&ドラゴンズにも、大きな影響を与えるかもしれません。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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ポケモンの秘訣

ポケモンの図

常に新しいユーザーを開拓しているのが、ポケモンの強みなのです

唐突ですが、携帯ゲーム機最強のコンテンツといえば、ポケットモンスターシリーズ(以下ポケモン)であることは多くの人が認めるところでしょう。初めて発売されたのは1996年。発売直後から大ヒットまでには時間がかかっていますが、その後は携帯ゲーム機における王者の椅子に座り続けているタイトルです。

何故ポケモンがそれ程までに強いのか。もちろん色んな理由がありますが、長期に渡って人気を獲得している理由の1つには、常にユーザーが若返りを繰り返しているということが挙げられます。

ポケモンは、シリーズ本編が2バージョンセットで登場すると、あわせて最終累計500万本ぐらいの規模で売れていきます。ゲームを遊ばない人はポケモンを子ども向けのものだと勘違いしますが、500万本売れるゲームというのは、実は非常に幅広い年齢層で遊ばれています。500万というのは、大人も子どもも遊んでいる、そうじゃないとなかなか出ない数字です。

ただし、それが10年以上も続いているというのは、新しく入ってくる子ども達を確保しているというところがポイントで、ポケモンは常に子ども達を意識し、子ども達へ向けて情報を発信しています。それがポケモンが非常に幅広いユーザー層を持ちながらも子ども向けだと言われる所以であり、シリーズが非常に長く人気を保っている秘訣の1つでもあります。

スマートフォン→3DS→スマートフォン

パズドラの図

スマートフォンで得た圧倒的知名度が3DSの市場でも効いています

そう考えると、パズドラZの狙いはずいぶん鮮明に見えて来ます。スマートフォンでダウンロード数2,000万以上を誇るパズドラは、大変な人気コンテンツとして多くのユーザーの認知を得ました。その知名度を携えて、コンシューマーゲーム機で最も勢いがあり、子ども達にも人気のある3DSをプラットフォームに選択、パッケージタイトルでもヒットを目指します。

既に出荷100万本、実売50万本以上ということでガンホーはコンシューマーにおいてもビッグタイトルを手にしたということになりますが、これはさらにスマートフォンのパズドラにも好影響をもたらす可能性があります。

この50万人にはかなり多くの小学生層が含まれることが想定され、パズドラは人気のタイトルとして刺さったことになります。こうなれば、彼らがもう少し大きくなって、中学生か高校生か分かりませんが、自分専用のスマートフォンを手にすれば、小学生の時にはまったパズドラをダウンロードするということは非常に自然な成り行きのように思えます。

スマートフォンでヒットしたタイトルを、3DSでヒットさせ、もう一度そのユーザーをスマートフォンに戻すことができれば、パズドラはユーザーを若返りさせる循環を手に入れたことになります。これは大変に強力です。ただし、この循環を続けるのは、そう簡単なことでは無いかもしれません。
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