2012年5月に再び白鳥を踊っていますね。
二度目ということもあり、手応えを感じられたのでは?
小野>あのときもやっぱり終わった後はいろいろと反省していました。“私はこうしたいと思ってしたけれど、本当はそうじゃなかったんじゃないか”とか、“他のアプローチの仕方があったんじゃないか”とか。どの作品もそうなんですが、毎回“もっとこうすればよかった”っていうことがいっぱい出てきて……。何が良かったんだろうって、終わった後もずっとグルグル考えなおしてました。確かに、テクニックは一回目より少しまともになっていたとは思います。ただ『白鳥の湖』って、お話を見せるのが本当に大変だなと改めて思いましたね。ひとつのシーンを踊り終えてお辞儀してソデに入って、また踊り終えてお辞儀してソデに入ってーーというのを繰り返していると、それが様式であるとはいえ、踊りしか見えなくなるときがある。
新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』
2012年公演より 撮影:瀬戸秀美
特に二幕はとても難しくて、新国立劇場バレエ団のバージョンは、王子とオデットの最初の出逢いのシーンにマイムがないんです。マイムなしで二人の感情や関係を伝えなければならない。白鳥役なのであまり表情で演じるものでもないですし、そのときの気持ちの変化というものをどう出したらいいのかと……。登場するときも、哀しいのか、それとも舞い降りてきただけなのかって、本当に解釈が沢山あると思う。
それにオデットは姿は白鳥ではあるけれど人間ですから、心を感じさせなければいけない。ただあまり人間くさくても、“あれ、『白鳥の湖』じゃないの?”となってしまう。逆にオディールは、姿は人間なんだけど人間じゃない、魔物ですから。何をどうみせたらいいんだろう、どっちにしたらいいんだろうって、いつも迷いながらやっています。でも結局、正解ってないんですよね……。