日本酒/酒造、酒蔵訪問

400年以上の歴史、江戸の地酒「金婚正宗」「屋守」(3ページ目)

日本を訪れた外国人観光客が1000万人を超えた。和食はユネスコ無形文化遺産になった。日本文化の象徴的飲み物である日本酒もまるでそれに連動するようにじわじわと人気を取り戻している。そして2020年には東京にオリンピック開催。東京の地酒を見直す絶好のタイミングだ。創業から427年! 東京神田生まれの豊島屋を訪ねた。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド


みりんを試飲?!

みりん

みりんの色がまぶしい! 飲んで美味しい!

さて見学のあとはお楽しみの試飲。
今回は「金婚 にごり酒 冬限定 活性清酒」「金婚 しぼりたて生酒 本醸造」「十右衛門 純米無濾過 中取り生原酒」「金婚 貴醸酒」「本みりん 天上 心」をきき酒する。

蔵見学のあとの喉の渇きを心地よく潤してくれる「活性清酒」、なめらかさと新鮮さが楽しめる「しぼりたて生酒」、ちょっと骨太で米の旨味を感じる「十右衛門」と続き、透明な琥珀色をした「貴醸酒」にみな驚く。三段仕込みの最後の段で水ではなく日本酒を使用する豊島屋の貴醸酒は、長期熟成をしており深く長い余韻が感動もの。和食以外でもフレンチやイタリアン、もしくは中国料理にも合わせられる馥郁たる印象。

色

にごり、みりん、貴醸酒でこんなにも色が違う

そして、みりん。
なに、みりんを味見するのかって? 
はい、ここのみりんは飲めるのである。もともとみりんは飲み物としても流通していた。現在では本物のみりんが少なくなってしまい「飲み物」というイメージは皆無に近い。この「本みりん こころ」は本当に飲める。おいしく飲める。驚きの味わいだ。

ここでみりんの製法を書いておこう。
原料はもち米。蒸したもち米と米麹を混ぜ、焼酎をまぜて落ち着かせる。この間にもち米が麹の働きで糖を生み出し、コハク酸やアミノ酸が旨味を生み出す。時間とともに自然な甘味と旨味がバランスよく含まれた味わいに仕上がる。

豊島屋のみりんは人工的な甘味料や旨味料は一切添加していないナチュラルなおいしさで、当然のことながら料理に使えば一段とおいしさが増すというもの。プロの料理人の間で広く使用もされている。

お酒はもとよりこのみりんもネット購入が可能。我が家の味をもうひと工夫というときに是非お試しいただきたい。600mlペットボトルが656円なんてお手頃だと思うけど。

ただ今注目度急上昇の「屋守」を飲む!

屋守

「屋守」の田中部長と宴会にて

つづいて二次会。(株)豊島屋本店吉村社長、豊島屋酒造(株)田中部長、同営業高橋さんらとご一緒に宴会だ。

ここで登場したのが「屋守」。おもわず「やもり」と読みたくなるが「おくのかみ」と読ませる。


豊島屋酒造(株)の4代目にあたる田中部長が自ら醸すシリーズで、日本酒マニアから注目される人気ブランドだ。

屋守

キラキラまぶしいデザイン文字が印象的

「15年ほど前になるでしょうか。醸し人九平治を飲んで衝撃を受けまして、それを目標にこの酒を造りました」と田中さん。初リリースから今年で10年目となる。「十右衛門」にどこか似た骨太のニュアンスに、よりフレッシュさとインパクトをプラスしたような味わい。
「お酒屋さんの棚の真ん中の段に乗るような酒になんなくっちゃ」と笑いながら語る田中さんは江戸っ子らしい勢いのある話しっぷりで語ってくれた。

親戚同士となる(株)豊島屋本店の吉村社長も、「彼が東京を代表する造り手になってくれたらうれしい」と強力なバックアップ体制をとっている様子。ちなみにこの「屋守」は、酒販の専門家がいる特約酒販店でのみ購入が可能。

吉村さん

いつも紳士の吉村社長と数々の受賞表彰状の前でパチリ

400年以上も続く神田生まれ東京の地酒。蔵に伺ってみれば、マーケティングの先見の明がある初代の感性をベースに、時代とともにチャレンジをも忘れない長寿企業ということが実感できる。

「おもてなしの東京オリンピック」は2020年の開催。それまでにお膝元の地酒のことを知らないなんてみっともないことにはなりたくない。お酒好きなら今からみんな予習をしておくべきかもね。

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