酒造りと近隣インフラ整備に尽力した十四代目



高木酒造入り口。雪に囲まれた蔵。レンガ造りの煙突がなんともハイカラな印象。
日本酒サイトをご覧の方に、「十四代」の説明はいまさら必要はないだろう。さまざまなメディアで、さまざまに語られる十四代だけど、お蔵拝見リポートは実はそう多くない。

今回幸運なことに、「高木酒造」代表取締役「十四代当主」高木辰五郎氏と、まさに十四代ブランドの立役者である専務取締役「十五代」顕統氏にお話をうかがい、お蔵を見せていただくことができた。
山形県村山市は県のほぼ中央に位置する。高木酒造がある村山市富並はまさに雪国という言葉がぴったりの土地柄だ。
うかがった2月下旬はたっぷりの雪に覆われ、寒仕込み真っ最中であった。



ダンディーな十四代目当主高木辰五郎氏。
「この雪があるからこそ、もろみの発酵がうまく運ぶんですよ」と、雪景色をいとおしそうに眺める辰五郎氏。雪の話をきっかけに高木酒造の歴史をうかがった。

「酒造りをはじめたのは元和元年(1615年)ですから、390年ちょっとになります。私は酒造りだけではなく、県会議員という政治の仕事もしています。一昔前は、このあたりは道も橋もなく道路事情が大変悪かった。たとえばこの先の次年子(じねんご)で病人が出たら、ここ富並まで運ぶ間に亡くなってしまうということがよくありました。私はそれをなんとかしたかったんです」

辰五郎氏は15年前に自ら立ち上がり、近隣のインフラ整備に力を注いだのだ。


とうとう来ました!十四代!!
もともと、京都の公家であった祖先は応仁の乱で負け、惨殺を逃れこの北の土地で名前をかえ、ひっそりと住み続けたのだとか。今も高木家にどことなく気品があるのはそのせい・・・かな??

京の落人とはいえ、酒蔵のある敷地だけで現在3500坪。戦前は「高木山」とよばれる山林、森林、田畑すべては高木家の所有であり林業も営んでいたという。

「酒税が上がり税金をたっぷり取られたから、あのころ戦争が出来たんだ。今はもう酒税が取れない(=お酒が売れない)から戦争は出来ないよね」と笑う。



大吟醸「黒縄」の本当の意味


大吟醸「黒縄」と蘭引酒「鬼兜」の看板が。
高木酒造の銘柄で「黒縄」という大吟醸がある。1升ビン10,000円の値がつく高級酒である。この「黒縄」の由来をうかがった。

米どころの山形では特別に高品質の米が入った俵には「黒縄」をかけて、遠くからでも目立つようにしていたのだとか。北前船の立ち寄り港である酒田からは、その「黒縄」が上方や江戸にむけて運ばれていった。
「今でも良質の『庄内米』には黒い札が張られていますよ」と辰五郎氏。
なるほど、これがわからないと大吟醸「黒縄」の価値が半減・・・かもしれない。