太陽を取り囲むように出現する巨大な虹の柱とアーチ、幻日
太陽の周りを護衛するように、虹の柱が一緒に昇ってくる神秘的な幻日。マイナス10度を切る寒い日の朝はぜひ日の出の周囲をチェックしてみて
幻日(げんじつ)というのは、気温がぐっと下がった日にしばしば見られる、太陽の両サイドから少し離れた位置に、まばゆい虹色の柱が現れる現象。よく見るとその虹の柱はうっすらとアーチ(円)を描いて、太陽を取り囲んでいるのがわかります。とくに、日の出とともに水平から持ち上がってくる2つの虹の柱はダイナミックで惹きつけられます。
冬の桜並木のように咲き誇る雪の華、樹氷
枝にびっしりとついた氷の粒は、遠目に見るとまるで満開の桜の木のよう。さらに樹氷が巨大化すると、今度はお化けのようなユーモラスな姿に移ろっていく
雪がコブ状にまとわりついた迫力ある樹氷
低気温で、かつ湖の水蒸気や霧などが冷やされて樹木の枝に氷の粒がびっしりとつくと、霧氷(代表的なのは樹氷)の並木が出現します。遠目に見ると、まるで白い花が咲いているかのような繊細な美しさ。そこに冬の陽光が差し込むと、樹々が淡い茜色た黄色に色づき、より幻想的でうっとりする冬景色を作り出してくれます。いっぽう、木がどんどん氷や雪をまとって肥大化していくと、やがてモンスターのような迫力ある樹氷に変身。このお化け樹氷並木は、2月ごろに高地やラップランド地方でよく見られるユニークな光景です。
人工光とダイヤモンドダストの美しいコラボレーション、ライトピラー
建物の灯りや街灯の光を受けたダイヤモンドダストが、雲のかかる天空まで色づいた光の柱を輝かせるライトピラー。寒い夜の街の上空を華やがせてくれる
太陽や月からも光の柱が伸びることがある
マイナス10度を切ると、大気中でダイヤモンドダストがきらめき始め、フィンランドの清澄な冬景色を演出します。さらに気候条件が整えば時おり見られるのが、このダイヤモンドダストが夜間に街灯や建物の灯りを反射し、天空に伸びる光の柱を輝かせる、ライトピラーと呼ばれる現象。まさに厳寒下の自然世界と人工の灯りとが共同で織りなす神秘で、街の上空に、幾筋ものカラフルな光がそそりだつ光景は圧巻です。また同じ原理で、太陽や月に対してもこのような柱が見えることがあるので、おやっと思ったら目を傷めない程度にじっと観察してみてください。
冷え込む日に窓やバス停のガラスを彩る結晶パターン、霜華
霜華(窓霜)の模様パターンは条件下で毎回異なる。花模様に見えたり、鳥の羽が舞うようだったり……まさに自然が織りなすテキスタイル
気温がマイナス10度以下までぐっと冷え込んだ日に、とおりすがりの窓や車、バス停のガラスなどの表面に見られる確率が高い氷の結晶の集まりが、霜華(窓霜)。花模様を描いたり、シダの葉のようだったり、あるいは鳥の羽が舞うようだったり……パターンは千差万別。端正な結晶が寄り集まって織りなされる模様は、いずれも着物の帯のように美しく繊細です。