男の靴・スニーカー/シューケア・手入れ

黒の靴クリームの「色」を 深く考えてみる Saphir編

前回に引き続き、黒の乳化性靴クリームの「色」について、製品ごとに特徴を解説してまいります。今回はフランスを代表し、著名な靴ブランドの純正お手入れ用品のOEM生産も多く手掛けるSaphirの代表的な靴クリームを2つ取り上げます!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

4. Saphir Bees Wax Fine Creamの黒

Saphir Bees Wax Fine Cream Black

Saphir Bees Wax Fine Creamの黒はM.Mowbrayシュークリームの黒に比べ、赤や黄を感じさせてくれる色合いです。黒系なのに「明るさ」もあるような…… くすみが少なく均質に色が入って行くのも特徴です。

皆さんが当たり前に使っている色付きの乳化性靴クリームの「色」をチェックするシリーズ。最初に取り上げた大定番・M.Mowbrayの黒(以下、「モゥブレィの黒」と記します)を一応の目安に、色味や伸びそれに浸透性などをチェックして行きます。これまでの2回(こちらこちら)で取り上げた商品は、いずれもR&Dで取り扱っているもの。起源がイギリスであるばかりでなく、色合いが黒と言うより「青み」を感じるグレイなのも共通点でした。

ではフランスのメーカー・AVEL社のブランドであるSaphir(サフィール)だと、一体どんな「黒」になるのでしょうか? まずは通常バージョン、青地に白で「SAPHIR」と書かれている乳化性靴クリームのそれが、上の写真です。因みにフランス本国ではこの靴クリームは”Crème Surfine”意訳すると「特上クリーム」の名で売られていますが、その色合いはズバリ、「モゥブレィの黒」に比べ赤味・黄味が増しているグレイ。また、それに比べややくっきりとした印象で、これは成分にくすみの少ないのが特長のアーモンドオイルを配合している効果かも?

紙に塗る際の抵抗感は「モゥブレィの黒」とほぼ同じで、特段のクセはないものの、光沢はそれに比べより均質に、何か薄いベールを一枚被せた上で出ているような印象があります。この乳化性靴クリームは補色・着色力を増すため顔料を多めに配合、つまり色を「染めて出す(これは染料の役割)」以上に「乗せて出す」戦法を採用している為、恐らくその結果なのでしょう。日本での名の通り蜜蝋を配合しているお陰で、薬品臭さを感じない代わりにフルーツ的な香りが丁度良い塩梅なので、男性のみならず女性にも違和感なく使える「黒」ではないでしょうか。

Saphirと言えば、やはり「あれ」を語らぬ訳には行きません。次のページで!
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