5. Saphir Noir Crème 1925の黒

Saphir Noir Creme 1925 Black

Saphir Noir Creme 1925の黒は、まるでエスプレッソコーヒーのような「茶味」を明らかに感じる黒で、しっかりとしつつも温和な印象が前に出て来ます。使い心地も独特なサクサクっとした独特なものです。

黒地に金で「Saphir」と書かれた通称「ノワールシリーズ」は、蜜蝋を軸にした基本レシピを1920年代の誕生以来変更しておらず、近年シアバターオイルを新たに配合することで更なる進化を遂げた「元祖プレミアム靴クリーム」とも呼ぶべき存在です。日本に紹介されたのは1990年代で、当時は1瓶千円以上する商品は非常に稀。個人的にも「貴重なものだから……」と極少量ずつ大切に大切に使っていたのを今でも思い出します。その結果、靴クリームはベタベタ多量に用いなくても十分効果を発揮することを確信できた、正に恩師のような商品です。

蜜蝋の要素が全面に出た甘くかつ自然な香りも、このクリームの魅力の1つですが、それ以上の特徴が実は色合い。上の写真にある通り、前ページの「青地に白のSAPHIR」よりも更に赤味と黄味が増していて、前回ご紹介したEnglish Guild Bees Rich Creamとは正反対の方向に振られています。更には色艶も濃くしっかりと、言わばエスプレッソコーヒー的に出るのですが、不思議と柔らくキメ細やかな印象も兼ね備えており、このクリームはダークブラウン系の靴に塗ってアンティーク仕上げを狙うと結構上手く収まることが多いのも納得です。「引き締める黒」と言うより「落ち着かせる黒」と申し上げれば解り易いかな?

また、ご存じの方も多いと思いますがこの靴クリームは乳化性ではなく、それに限りなく近い油性。紙に塗る際の抵抗感にもそれが如実に表れていて、何と言うのか、まるでキメの細かいシャーベットがサラサラっと融けて行くような、加減の掴みやすい唯一無二の使い心地です。そして「油性」であるが故の浸透力の凄さを示したのが下の写真。塗ってから数秒後には、紙の裏面に油分が黄色くうっすらと現れたのです。実験に用いている紙(マルマンの厚口画用紙)は塗った周囲や裏面への滲み難さには定評があるものですが、それを打ち破って発生した「裏抜け」は、この靴クリームの突出した性能の証明と言えるでしょう。
Saphir Noir Creme 1925を塗った裏面

紙に塗ってから数秒後の「裏面」です。うっすらと黄色く裏抜けが発生しているのがお解りいただけるかと思います。乳化性ではなく油性であるが故のパワフルな浸透力! この基本レシピが1920年代には既に完成していたことに改めて驚かされます。

イギリス系、フランスと来ましたので、次回は「あの国」の靴クリームを2つ採り上げましょうか。こうご期待!




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