メテオラの歴史1. 修道士の隠れ家として
大地から突き出した高さ400m近い奇岩。この上に修道院があることを誰が予想できよう
メタモルフォシス修道院。メタモルフォシス=変容とは、キリストが弟子たちと山に登り、天使たちと会話を交わした際、キリストの身体が光り出して変容したことを示す
東ローマ帝国の勢力が弱まって1340年にセルビア王国がこの地を支配すると、聖山アトス(世界遺産「アトス山」)の修道士たちは戦火を避けるためにメテオラに集まるようになった。1356年、アサナシオスは同志十数名と奇岩の頂上に、修道院の建設をはじめる。1388年にこのメタモルフォシス修道院が完成し、断崖に囲まれた空中に位置することから「宙に浮かぶ=メテオラ」修道院と呼ばれるようになる。
メテオラの歴史2. 生きている聖地メテオラ
下から見上げたメタモルフォシス修道院。この修道院はメガロ・メテオロン修道院、大メテオロン修道院、キリスト変容教会などとも訳される
メタモルフォシス修道院では、かつて修道士たちは縄のハシゴや巻きあげ機を使っていたが、現在はこのロープウェイで物資を運んでいる
一時メテオラは衰退するが、16世紀に再興され、多くの修道院が改築され、修道士たちがふたたび集まりだし、修行の場として栄えた。結局24建てられた修道院のうち、現在残っているのは8つ。うち6つの修道院がいまも活動を続けている。
メテオラは単なる観光地ではなく、現在もギリシア正教徒たちが修行を行う生きている聖地なのだ。