複合遺産「ヒエラポリス - パムッカレ」の魅力
神秘的な色で魅せる石灰棚の湯。藻が大量に発生して石灰棚を汚してしまった経験からここで泳ぐことはできなくなったが、一部裸足で入れる場所が確保されている ©牧哲雄
美しい石灰棚の曲線 ©牧哲雄
広大な棚の一部は観光客に開放されており、石灰棚を眺めながら足湯につかることができる。水の流れが数千年もかけて作り出した造形美を、足湯につかりながらボケーっと眺める。いい時間だ。
そして台地の上にあるのがローマ遺跡ヒエラポリスだ。ローマ時代の浴場や列柱、神殿跡が残されており、特に円形劇場はトルコにあるものの中でもっとも保存状態がよいといわれている。
ヒエラポリスに残るローマ時代の遺構 ©牧哲雄
そして石灰棚・ヒエラポリスと並ぶパムッカレの名所が遺跡プール(パムッカレ・テルメル)だ。透明度が高く美しい鉱泉にローマ時代の遺跡が沈む巨大なプールで、遺跡に腰掛けて鉱泉に浸かったり、その源泉で泳いだりすることができる。
遺跡の魅力と温泉の魅力が結びついた世界でもっとも神秘的な温泉のひとつでのんびり温泉三昧。最高の時間だ。
パムッカレの石灰棚ができるまで
パムッカレの美しい石灰棚。棚の総数は100以上にもなり、いまも増えつつある ©牧哲雄
雨水は地中で様々な地層に触れて、いろいろなミネラルを含んでミネラル・ウォーターとなる。パムッカレ周辺は石灰層が強く、炭酸カルシウムをたくさん含んだ鉱泉になる。鉱泉は地熱で温められ、圧力を加えられて大地に湧き出して温泉となる。
こちらも石灰棚 ©牧哲雄
水がせき止められているうちに溶けていた炭酸カルシウムが沈殿し、これが何年も何年も積み重って壁になり、やがて大きな棚へと成長する。現在このような棚が100以上確認されているという。
棚から落ちた水滴は、ゆっくりゆっくり落ちるうちにわずかずつ炭酸カルシウムを沈殿させて、つららのようなつらら石を作り出す。下に落ちた水滴からも少しずつ炭酸カルシウムが沈殿し、盛り上がって石筍(せきじゅん)となる。つらら石と石筍がくっつくと石柱となり、滝のような不思議なオブジェができあがる。