「倍返し」は誰に?何倍?
「倍返しだ!」のような日本語を外国語に直す際には、(1)同じような言い回しを探す、(2)作文するという方法がありますが、いずれもなかなか難しいものです。Œil pour œil, dent pour dent (目には目を、歯には歯を)という表現もありますが、やはり少しニュアンスが違いますよね。
では、作文ということになると「倍返しだ!」という言い回しには、日本語ならではの曖昧な部分が隠されています。
まずは主語にあたる部分ですが、これは通常なら私を意味するje (ジュ)でしょうが、場合によっては私たちの意味をもつnous(ヌ)あるいはon(オン)の場合もあるでしょう。
さらに「返し」の部分を、元々の言葉の意味が持つ「贈り物に対するお礼」ではなく、ドラマどおり「復讐」の意味にとるなら、se venger de (ス ヴァンジェ ドゥ/~に復讐する)という動詞が使えます。
次に、誰に対して復讐するかも考えなければなりません。この場合はdeの後ろは人称代名詞の強勢形になりますから、相手に合わせてtoi(トワ/君・おまえ), vous(ヴ/あなた(たち)), lui(リュイ/彼), elle(エル/彼女), eux(ウ/彼ら), elles(エル/彼女ら)から使い分けます。
こういったことを考えてみると、自分が目の前の相手に「2倍強」の復讐をする場合には、近接未来を使って次のような言い回しができるでしょう。
deux(ドゥ/2)の部分を必要な数字に変えれば復讐度合いをアップすることができますが、やはり冗長でインパクトにかけますね。まあ、実際には使うことがないことを祈る言い回しですからよしとしましょう!